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加藤宗厚「図書館人の自戒十条」

2005-10-21

最近届いた『大学図書館研究 74号』は、巻頭から3つ連続で読ませる!

岡嶌偉久子さんの「総合目録における和漢古書書誌記述の考察:NACSIS-CAT (NII) 及びNCRでの取り扱いを踏まえて」、渡邊隆弘さんの「継続資料の組織化と総合目録データベース」、森本英之さんの「NII Webcat Plus の北アメリカ地域での有用性:検索及び基盤となる書誌レコードの観点より」である。

インターネットがあれば誰でも「目録で必要な資料を探す」ことを、真の意味で実現させることにつながる話ばかり。

読みたくなる文章をのせている『大学図書館研究』って良い雑誌かも。おっと、それなりの値段でもある。(税込み定価 3,465円)お金じゃないけどね。

図書館人の自戒十条
1 常に図書館の目的を反省したい
図書館は単なる教育機関ではなくして伝達、娯楽の機関であることを反省したい。
2 図書館活動の基調は奉仕にある事を自覚したい
奉仕は単なる掛け声や道具だてではなくて、図書館が利用者のためにあるという平凡な心理を具現することであり骨おしみをしないということである。
3 すべてに親切でありたい
時間を守り、責任を重んじ、事物の処理にあたって親切でありたい。
4 すべてに研究的でありたい
図書館の仕事は一度定形を得ると容易に変更を許さない。ここに研究の停頓がはじまる。すべてを研究的に処理して常に清新の気を保ちたい。
5 理論は実際によって調整したい
最も理論的なもの必ずしも最も実際的ではない。図書館の技術は理論に導かれつゝしかも実際からの遊離を極力さけなければならない。
6 仕事に追いかけられず、仕事を追いかけよう
仕事は速に処理し常に待機の姿勢でありたい。
7 仕事は終始一貫を期したい
先例を考え、将来を察し、縦横の関係に十二分の注意を払い一貫した方針で事を処理したい。
8 協力的でありたい
図書館活動の目的は他の諸機関との協力によってのみ達成される。偏狭をさけて館の内外において事を協力的に運びたい。
9 常に明朗でありたい
図書館人は常に暗いとされている。自己教養やスポーツによって明朗性を養いたい。
10 常に健康でありたい
図書館の環境は必ずしも快適ではないが健康こそはすべての根源である。心身の健康を保って愉快に図書館奉仕に生きたい。
この十条は私の処世のちかいでもあり、自己批判の尺度でもあり、又同志への当面の切望でもある。

これは当館のスタッフルームにしばらく前から貼られているものの写し。加藤宗厚さんの『件名作業』(1957・理想社)からで、7ページからの本文直前、6ページに置かれている。当館は1966年の重版を所蔵している。

ゆっくり読む。さいごの「ちかい」「同志」という語に何かしら感じるとともに、それぞれの条項にさまざまの考えがよぎる。ごく最近は「骨おしみをしない」という言葉に肯いた。机に向かってする仕事はすべて「研究的」でなければおかしいと思う。

ところで国会図書館の目録を「件名=件名標目」で検索すると「84件」しかヒットしないが、個人では加藤さんの5件が最多である。これまでのことは措いて、これから増えればいいか。

【追記  2005.10.24】図書館人の自戒十条は『出版ニュース昭和28年21号(1953)』が初出らしい。同じく「十条」が収録された『喜寿記念図書館関係論文集』の578ページにそういう記述があった。ちなみに『件名作業・重版』と『論文集』では、若干言葉遣いがちがう。

Categories: 件名, 図書館員 (司書), 逐次刊行物

神田神保町の歩き方

2004-09-06

月刊誌『東京人』の最新号(10月号)は、神田古書店街の特集です。この特集は最近では1年おきにあって、だけど、それなりの内容に仕上がっており、手元に置いておきたくなる。今回も「マップ」付きです。

■関連→東京人(都市出版)

Categories: 書店, 逐次刊行物