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長嶋有『泣かない女はいない』のカバーの裏に…

2005-04-20

【4.21に再確認して修正したのに続き、4.27に修正追記した。】

『週刊朝日』の書評コーナー「週刊図書館」を結構好きで読む。

現在発売中の『4月29日号』は、鴨志田穣さんのインタビューからはじまって、高橋源一郎さんの『失踪日記(吾妻ひでお)』評、斎藤美奈子さんは杉田かおる・爆弾本を紹介、永江朗さんの心理テストへの懐疑、呉智英さんが「鉄の惑星」に膝を打った話など、私には盛りだくさん。

最後に「読書日和」という毎回違う人が最近読んだ本の話をする欄があるが、今号は島本理生さんだった。

そこで取り上げていた2冊のうちの1冊が、長嶋有さんの『泣かない女はいない』である。標題作のほかに「センスなし」が収録されているが、カバー裏に短編があるという。調べたら「二人のデート」という掌編で、目次にはないが、初出(p.172)には目次の2編と並べて、タイトルとともに「書き下ろし」と書かれている。

島本さんは「図書館の本などはあらかじめ外れないようにカバーが張り付けてあるので、この短編を読むことができない」と書いていたが、実際どうなのだろう。朝日新聞(2004.12.18 朝刊生活面)で「実は、うちではカバーを全部捨ててるんです」と、きっぱり答えていた国会図書館はどうする?  捨てるんだから、JAPAN/MARCにも情報は載らないだろうな。カバーを捨てても172頁の情報はあるぞ。他の図書館も目録をどうするのかなぁ。

常々思うのは、日本ほどカバー(装幀)に力を注ぐ国もないだろうということ。本にバーコードを印刷するに際しても大きな議論があったし。

本は「中身が大事です」とはいうものの、ちょっとした本(失礼)でも相当なエネルギーをかけているのをみると「外見が大事でもある」だよね。

宮嶋康彦さんの『日本カバ物語』は、カバー裏の〈国内動物園全カバ系図〉が圧巻で、これこそ「中身」のエッセンス。後に改訂された『だからカバの話(朝日文庫)』では「折り込み図」にしてある。

司書としては、図書館は「必要なカバーは付ける」のだと思う。「意味があるから」とか「お金がかかってるし、付けたら違うでしょ」と言って説明することもあるが、要は1冊ずつ手に取ってみて、必要かどうか判断すればいい。プロなら朝飯前の仕事だろう。当館で年に1万冊程度あつかううち「どうしよう」と頭を抱えて小一時間も迷うような本は、1冊あるかないかである。

あなたの知っている図書館では、次の本、どうなってますか?

【追記 (4.27)】

その後「カバーを張り付けると利用に問題がある本」という観点からいろいろ見ていると、思ったよりもその手の本は、たくさんあるのです。ちょっと挙げてみるだけでも「カバー裏に何か印刷されているもの」のほかに、「表紙や裏表紙に本文にはない解説や図面等があるもの」「見返しに地図や写真等があるもの」、さらに「帯とカバー、両方がトータルにデザインされているもの」…、という具合。当館も『電車男』をうっかり通常の装備をしていた。うーん難しい!

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