グーグルで図書館の本を調べた例
ごく最近、Open Worldcatで「こんなことがわかった」という例があった。
「消費者医療情報サービス・パスファインダー」を新しく作成したときのこと。
当館の蔵書に、このジャンルの代表的な本の一つが欠けているため、出入りの書店に次の本を発注した。
Alan M. Rees 『Managing consumer health information services』(Oryx Press, 1991)
ちょっと前の本で新本は既になく、古書を探してもらい入手した。
その本はアメリカ・テキサス州のオースチンからやって来たものであった。Austin Public Library の小口印が3ヶ所に押されている。
受入作業をしているときに除籍を示すハンコを探したが、どうも押されてないようなので、念のためと思って、前の持ち主のところを調べてみた。このとき Open Worldcat を使ったのである。
最近作成したパスファインダーに必ず示してあるのが次の探し方である。
例えば「消費者医療情報サービス」であれば、グーグルに「"Consumer health information" site:worldcatlibraries.org」と入力する。 "Consumer health information" と「"」で囲むのは、この語順のフレーズ検索をするため、「site:」は、このサイト内のみから探すためで、つまりWorldcatの目録データに限定するためである。
- これにならって「"Managing consumer health information services" site:worldcatlibraries.org」で検索。
- すると「Find in a Library: Managing consumer health information services ... 」は2つ表示される。とりあえず上の方をクリック。
- 表示された書誌事項を確認して、まあ間違いなしと判断、「Find Libraries with item(これをもっている図書館を探す)」の「Postal code, state, province, or country:(郵便番号、州名、行政区名、国名のいずれかを入力する)」、にオースチンの郵便番号「78767」を入力して、Go。
- 「Local Libraries(あなたの地元の図書館)」のリストに、「Texas State Library」「University of Texas at Austin」「Austin Public Library」の3館が示された。
- 「あれ、オースチンにはもう一つあるから除籍したのかな?」と思いつつ、「Austin Public Library」をクリック。
- Austin Public LibraryのOPACがISBNで検索され、その結果が表示される。「0897746228 Managing consumer health information services / edited by Alan M. Rees. Phoenix, Ariz. : Oryx Press, 1991.」に続く「1 title」をクリック。
- ここでローカルの情報が表示される。 で「Holdings(所蔵)」の欄は? というと
Location
|
Call Number
(請求記号) |
Volume
|
Material
|
Status
|
Central
|
027.662 Ma
|
|
BOOK-ADULT
|
Withdrawn
(除籍) |
所蔵館が「Central(中央館)」で手元では「Central」および「Faulk Library」のしるし、請求記号も一致したので、除籍された現物であることが確認できた。
「グーグルやヤフーやアマゾンで検索できる」ってことの一端を紹介したのだが、この例では、大量に印刷された本のうちの特定の一冊について、美術品等のように来歴のウラがとれた。
また、このプロセスの最後は、一応、オースチン公共図書館のOPACにリンクされている。だがグーグルが、時間差なくローカルの情報のコピーをもっていれば、クリック回数は少なくなり手間が減る。これは技術の問題で、いずれ解決されるだろう。
Open Worldcatの検索にはツールが用意されている。これらを使えば、ちょっとだけ手間が省ける。検索語がはっきりしているときには、結構便利だろう。
さて、あなたが英語で暮らしているひとなら、こんな資料の探し方ができる。
- グーグルあるいはヤフーで検索(このとき「図書館の資料のみ」等、オプションがある)
- 検索結果で資料の一覧が表示される
- 一覧からよさそうな本を選ぶ
- 本の書誌データに示されるいくつかの件名から、自分の調べる事柄を確認
- 適切な件名で同じトピックの本を一度に探し出す
- 近所の図書館にあるかどうか確認する
もちろん、こんな検索ができても「本当に必要なことはわからない」ことの方が多いかもしれない。
ただ、できないより、はるかにマシではないか。
■関連→Open Worldcat