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ドイツ図書館もMARC21へ

2006-02-17

長く更新できず失礼しました。

先月のことですが、1月13日に愛知淑徳高校が開いた井上真琴さんの講演会(と、その2次会)に参加しました。お誘いくださった高校の先生にも、深く感謝をしたい。月日が経過するとともに、あの時間がとてもよい時間だったと思い出されます。
井上さんは以前この欄で取り上げた、ちくま新書『図書館に訊け!』を書いた人です。間近で井上さんと接して、前回記事に書いた「立ち位置」についての疑問は消えました。立ち位置は「最前線の現場から考えるひと」だと思います。これは当たり前のことですが、世間のなかでは結構難しいことだとも思っています。井上さんの仕事ぶりを垣間見て、「自分にとっての現場はどこか」をきちんと理解して、ちゃんと仕事をすることだ、と改めて自分を振り返りました。

さて今日の本題は、ドイツ図書館(DDB: Die Deutsche Bibliothek)もMARC21へいよいよ移行する、というニュースである。この話は同僚から聞いたのだが、調べてみると、DDBの『ddb, Umstieg auf MARC 21 = ddb, Moving to MARC 21』というページが昨年暮れに作成されていたようだ。

これは『ddb, Umstieg auf internationale Formate und Regelwerke = ddb, Changing for International Formats and Codes (MARC21, AACR2) 』※ に続く知らせで、2004年末にMARC21への移行が決定されて以来、専門プロジェクトによる検討を経て、2007年初めには準備が整うという。2008年にAACR3改めRDAが出ることを念頭に置いたスケジュールだろう。

※ RAK( Regeln fur die Alphabetische Katalogisierung = アルファベット順記述目録規則)とMAB(Maschinelles Austauschformat fur Bibliotheken = 図書館向け機械変換フォーマット)を、AACR2とMARC21に変更する件。

1996年から1997年におこなわれた「OCLC REUSEプロジェクト」の報告(カレントアウェアネス No.234 1999/2/20号を参照)によれば、RAKとAACR2、この両者には根本的な違いがある上、MABとUSMARCのフォーマットに互換性がないということであった。それが、1999年10月に来日したDDB副館長ウテ・シュベーンス(Ute Schwens)氏の講演では

「(引用者注:ドイツ国立図書館における全国書誌サービスで提供される)機械可読データのフォーマットは、MAB(図書館向け機械変換フォーマット)やUNIMARC、あるいはここ数ヶ月前からはUSMARC等である。」

とUSMARCが利用できるようになっている。

このほか主題アクセスへ対応するため、1997年からの「MACSプロジェクト」でSWD、RAMEAU、LCSH ※2 を連携させる仕組みを検討した。(カレントアウェアネス No.262, 2001-6-20参照)

※2
SWD  Schlagwortnormdatei = 件名典拠ファイル;ドイツ語
RAMEAU Repertoire d'Autorite-Matiere Encyclopedique = パリ国立図書館の件名標目表;フランス語
LCSH Library of Congress Subject Headings = 米国議会図書館件名標目表;英語

さらに2002年から、LCやOCLCとともに、とくに名称典拠ファイルについて「ヴァーチャル国際典拠ファイル(VIAF: Virtual International Authority File )」を構築しようとしている。(関連記事→ DDB | カレントアウェアネス-E No.23 2003-10-1 | カレントアウェアネス No.280 2004-6-20 | National Diet Library Newsletter No.142 2005-4

このほかDDBの英語ページをざっと見るだけでも、「Mapping FRBR - MAB(PDF・ドイツ語のみ)」「DDC Deutsch Project」など、過去のデータを生かしながら今後の展開に必要な作業を押さえていることがわかる。

こうしたドイツ図書館の仕事は、「その国やそこに住むひとにとって必要なもの」として自国の図書館が生き残るためになされているのだろう。これと同じ仕事が日本でも必要であることは明らかで、なのに、そうした動きがないように見えるのはどうしてだろう。

見えないところで成果があがっている? まさか、そもそも気づいてないってことはないと思うが。

■英国図書館(British Library)のMARC21への移行→Moving to MARC21 (BL) | カレントアウェアネス No.267 2001-11-20
■参考 →ドイツ図書館ポータル(Goethe-Institut)

Categories: FRBR, MARC, ドイツ図書館, 典拠, 目録規則