思考 Thought and thinking

このパスファインダーは、思考について調べるときの、最初の「みちしるべ」として利用できます。

思考とは

「思考」については、さまざまな解説がなされてきました。

・思考の心理学的な研究は、問題解決、方略、推理、理解、表象 (心像、観念、概念などを含む)、知識など、広く思考に関連するさまざまな現象をその対象としている。・・・『日本大百科全書』

・考えること、思うこと、すなわち考える働きあるいは過程・・・『新版心理学事典』

・貯蔵した知識を課題に適用したり利用したりすことに関係する・・・『認知と思考 : 思考心理学の最前線

「思考」は従来論理学の研究分野であり、 「定義はさまざまで、すべての人が合意するような定義は見当たらない (『ブリタニカ国際大百科事典. 第2版改訂』) とも解説されるように、多様な側面を持っています。

関連キーワード(検索語)の解説

「思考」という概念は、必ずしも心理学の分野に限定して取り扱われていません (上記「思考とは」参照)。心理学の分野に限定して検索する場合には、分類記号とキーワードを組み合わせたり、「思考」のどんな側面について調べたいのかを考えて、「クリティカルシンキング」「連想」「Creative thinking」などのより限定したキーワード を選んで検索するとよいでしょう (左の「関連キーワード」参照) 。『Thesaurus of Psychological index terms』や『LCSH』を参考にすると、調べたい文献の内容を的確に表現していることばに限定することができます。

左に挙げたキーワードや件名を参考にしながら調べていくとよいでしょう。このほかの関連するキーワードを調べたい場合は『米国議会図書館件名標目表 (LCSH)』や『Thesaurus of psychological index terms, 10th ed.』も参照します。LCSHの概要と使い方はこちら

関連情報

関連キーワード

  • 思考
  • 問題解決
  • 判断
  • 推理、連想、インスピレーション
  • 連合 (心理学)
  • Thought and thinking
  • Abstractio
  • Association of ideas
  • Creative thinking
  • Critical thinking
  • Divergent thinking
  • Flight of ideas
  • Insight
  • Judgment
  • Mental work
  • Reasoning (Psychology)
  • Stereotype (Psychology)
  • Thoughtfulness
  • Logical thinking
  • Magical thinking
  • Autistic thinking
思考に関連する主な分類番号
関連パスファインダー

パスファインダーには、図書館の資料、インターネット上で提供されている文献、データベース、出版情報やリンクなど、選りすぐりの資料や情報資源が掲載されています。

もちろん必要な部分だけを参考にするのもよいですし、これら以外にも情報資源(リソース)はたくさんありますから、図書館員にお尋ねください。

このパスファインダーは2005年度図書館実習生の協力により作成されました。(Mizuki Kashima. 2006-01-31)

I. 下調べ(事前調査)

どんなテーマでも初めて調べる時は、まず「そのテーマ(内容)は何か」を知る必要があります。百科事典や主題別専門事典などを調べて、基本的な知識をおさえ、テーマの概略をつかみましょう。
それと並行して、「II. 情報集め(文献調査)」に使うキーワード(検索語の候補)のリストを作ります。できれば引用・参考文献もチェックします。

A. 百科事典

JapanKnowledge ジャパンナレッジ.

学内から 学外から BIB

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『ジャパンナレッジ』は、百科事典や言語辞書、専門用語辞典、現代用語集などの辞書・事典を一度に検索できるデータベースです。ひとつのキーワードから各コンテンツを横断検索し、また本文閲覧も可能です。課題調査やレポート作成などに活用することもできます。収録コンテンツには『現代心理学辞典』(有斐閣)も含まれている。

アクセス方法
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検索方法

キーワード欄に探したい「キーワード」を入力し、検索。
「思考」と入力すると、311件の記事がヒットする。

「1. 思考(日本大百科事典)」を選ぶと、思考の簡単な定義と項目として「心理学における思考」「パターン認識について」「思考の発達と教育」を取り上げている。関連項目として「思考心理学」「パターン認識」「問題解決学習」「論理学」など

ブリタニカ国際大百科事典. 第2版改訂版. 1991.

全28巻。「思考」 -- 8巻600-603ページ。星が丘分館所蔵の改訂版(1988)も同じページに掲載されている。BIB

OPACレファレンス[和]/長 > 031/B92/ア CiNii
OPAC4Fレファレンス/星 > 031/B92/ア1CiNii ※星が丘分館は改訂版(1988)を所蔵

Encyclopedia of psychology. American Psychological Association. 2000.

「Thinking」 -- 8巻68-79ページ。"An overview" の項がわかりやすく整理された説明になっている ("…thinking involves so many different kinds of mental processes…concept formation, problem solving, judgment and decision making, and reasoning.")。各記事末に参考文献が多数記述されている。BIB

140/E58/  140/E582/ CiNii
4Fレファレンス/星  レファ/[和]長

Cognitive psychology : student's handbook. 5th ed. Psychology Press. 2005.

百科事典ではないが、認知心理学全般を取り上げている基本的テキストなので、参考書として使用できる。

PART IV (429-532ページ) では "Thinking and reasoning" をテーマとしてとりあげており、429-431ページでは、思考には大きく5つの形態 "Problem solving (問題解決)" "Decision making (意思決定)" "Judgment (判断)" "Deductive reasoning (演繹)" "Inductive reasoning (帰納)" があると説明している。参考文献多数。BIB

14151/E94 CiNii
レファレンス[洋]/長

B. 主題事典・辞典

心理学辞典. 有斐閣. 1999.

「思考」 -- 325ページ。引用・参考文献は913-976ページ、巻末に和文・欧文の事項および人名索引あり。BIB

140/N34-3  140/N34-4/ CiNii
4Fレファレンス/星   B1/星 レファレンス[和]/長  2F/長

認知科学ハンドブック. 共立出版. 1992.

第II編 ([81]-132ページ) が思考に関連する。『思考とは何か』 -- [81]-83ページ。各章末に参考文献あり。BIB

14151/A49 CiNii
レファレンス[和]/長  2F/長

C. 入門資料

思考. 認知心理学 ; 4. 東京大学出版会. 1996.

「思考の定義は研究者により必ずしも一致していないが、一般には、ある状況に対して反射的に反応するのではなく、複雑な内的過程を経て判断や行動が行われることをさしている。思考には、推論、問題解決、理解、概念形成などの機能が含まれる (序章から)」。
各章毎に引用文献、巻末に人名・事項索引あり。BIB

141/N76/4  14151/N76/4 CiNii
B1/星  2F/長

情報処理の心理学 : 認知心理学入門. サイエンス社. 1992.

「人間がいかに情報を処理しているのか、という認知心理の分析手段のひとつに焦点をあてている。そのなかで人間が "情報" を "知覚"し、"記憶"し、"記憶" した情報を組み合わせて "思考" する過程を明らかにすることによって、情報処理者である人間の行動をより深く知ることができるのである(「まえがき」から)」。
「思考の情報処理」 -- 第3章60-86ページ。巻末に引用文献(各章別に記述)、人名・事項索引あり。BIB

141/TA26/ CiNii
2F/長

認知と思考 : 思考心理学の最前線. サイエンス社. 1994.

「思考を伝統的な区分に従って概念、判断、推理作用および問題解決を中心に各章を設定 (9ページ)」しており、認知心理学のおける「思考」研究を多角的に取り上げている。引用文献は213-219ページ、巻末に人名・事項索引あり。BIB

内容: 1章 認知と思考 ; 2章 概念 ; 3章 判断意志決定 ; 4章 演繹推理 ; 5章 帰納推理 ; 6章 問題解決と知能 ; 7章 数学の問題解決 ; 8章 自然科学の問題解決 ; 9章 日常認知 ; 10章 認知発達

141/TA26  141/TA26-1/ CiNii
B1/星  2F/長

「思考」と「行動」を高める基礎講座. 東洋経済新報社. 2003.

『クリティカル・シンキング』シリーズの第1弾。原著は『Critical thinking : tools for taking charge of your life (Richard Paul, Linda Elder著)』(第2版 1415/P28 書庫A集[洋]/長)。
クリティカル・シンキングとは「論理に基づき他人の立場を尊重し、自分の内省、評価まで含む」思考のことをさす。「思考力を伸ばしたいと思う人すべてを対象にしています。」と説明があり、「思考」がどのような知的作業や過程、メカニズム含むのかを具体例を提示しながら分析している。原著にある参考文献の記載はない。

1415/P28/1CiNii
2F/長

Thinking, problem solving, cognition, 2nd ed. W. H. Freeman. 1992.

初めて認知心理学を勉強する人を対象に書かれ、基本的なテキストとして長く愛用されている。『Google Scholar』によると本書は約221件の引用がある(2006年1月14日現在)。各章末に参考文献あり。巻末にReferences (509-543ページ)、Author index、Subject indexあり。BIB

内容: Part I Historical perspective ; Part II Basic thinking, tasks, ; Part III Information-processing analysis of cognition ; Part IV Implications and applications.

141/MA98/ア CiNii
書庫A集[洋]/長

The psychology of human thought. Cambridge University Press. 1998.

心理の一分野であり多様な側面を持つ「思考」を、それぞれの分野で第一人者とされる人たちの協力を得てまとめた学部生のための教科書。各論文ごとに参考文献、巻末にAuthor index、Subject indexあり。BIB

内容: 1. History of thinking ; 2. Concepts and thought ; 3. Induction ; 4. Thinking about causality ; 5. Deduction ; 6. Judgment and decision making ; 7. Problem solving ; 8. Language and thought ; 9. Text comprehension ; 10. Intelligence ; 11. Creativity and the quest for mechanism ; 12. Teaching thinking and problem solving: illustrations and issues ; 13. The development of thinking ; 14. Methodology for laboratory research on thinking:task selection, collection of observations, and data analysis ; 15. A taxonomy of thinking.

141/P955CiNii
書庫A集[洋]/長

D. 雑誌

当館にない雑誌は、記事コピーの取り寄せ(文献複写)や、所蔵する他館での閲覧(紹介状の発行)もできます。詳細はレファレンスデスクへ、お尋ねください。

Cognitive psychology. Academic Press.

認知心理学に関連する論文を掲載している。収録されている論文は『PsycInfo』で検索することができる。
検索画面のプルダウンで "SU Subject; をメニューから選び、画面左中央の<出版物名>に誌名を入力する。それぞれに「Thinking」「Cognitive psychology」と入力して検索すると155件の論文がヒットする。(2018年5月21日現在)

バックナンバー室/長 C 995-2005+ 28-50,51(1-2)

心理學研究.

心理学全域の研究論文を掲載している雑誌。内容は『MAGAZINEPLUS』で確認することができる。
入力画面で <全文検索>に「思考」、<雑誌の情報>に「心理學研究」とすると123件論文がヒットする。同じく<全文検索>に「思考」と「心理学」と入力すると123件ヒットする。(2018年5月21日現在)

バックナンバー室/長 し 1944-2005 19-63,65-75,76(1-4)+
B2雑誌/星 M14/し 1970-2005 41-75,76(1-4)+

 

II. 情報集め(文献調査)

テーマについて、おおよその内容が理解できたら、次は「I. 下調べ(事前調査)」で集めたキーワードを検索語として、関連文献を探します。まずは身近な図書館から、はじめましょう。それぞれの詳しい使い方や、当館に所蔵がない文献の入手方法は、レファレンスデスクで案内しています。

A. 愛知淑徳大学図書館の資料を探す

目録(OPAC=オーパック)は、当館の図書・雑誌・視聴覚資料などを探すための必須の道具です。OPACでは〈詳細検索〉を上手に使いましょう。とくに〈件名〉は、テーマを絞って資料を探す場合に便利な項目です。

愛知淑徳大学図書館OPAC.

詳細検索で、〈件名〉に「思考」で和図書265件、視聴覚資料6件、「Thought thinking」で図書73件、雑誌1件ヒットするが、論理学や教育学に関連するものも含まれる。
続けて〈請求記号〉に「141」を加えて検索すると心理学の資料に限定できる。この条件で図書116件、、視聴覚資料2件がヒットする。
(2018年5月21日現在)

B. 索引・書誌などレファレンス資料を利用して探す

索引や書誌などのレファレンス資料は、研究に必要な情報を広く調べるときに大変便利です。レファレンス資料ではないけれども同じように活用できる資料も紹介します。下調べの段階で集めた情報以外に、もっと情報を集めたい時に活用しましょう。

PsycINFO.

学内から 学外から

アメリカ心理学会(APA : American Psychological Association)による、行動科学および精神衛生の分野における最大の情報資源。1800 年代から現在までの学術誌をカバーし、英語文献はもちろん、日本語文献も探すことができる。

アクセス方法
  1. 利用している端末によって、「学内から」「学外から」ボタンを選択
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検索の基本

検索フィールドの入力項目のプルダウンから "DE Subjects[Exact]" を選び、「Thinking」を入力して検索すると20457件文献がヒットする。
同じ条件のまま「Abstraction」で検索すると2408件、「Divergent thinking」で1227件、「Logial thinking」で3097件、「Magical thinking」で427件ヒットする。
(2018年5月21日現在)

MagazinePlus マガジンプラス.

学内から 学外から

一般誌から専門誌、大学紀要、海外誌紙まで収録した日本最大規模のデータベースです。国立国会図書館(NDL)の「雑誌記事索引」データのほか、「雑誌記事索引」ではカバーしきれない年報類・論文集や、一般誌などを追加・収録しています。明治期から現在まで一括して検索できる。(日外アソシエーツ『MagazinePlus』のページから)

アクセス方法

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*「学外から」・・・学内食堂のWi-Fiへ接続したデバイス、自宅パソコン、スマートフォンなど、学内LAN未接続の端末

検索方法

上部の検索窓に、検索語を入力して検索する。
「思考」「心理学」と入力して検索すると、684件が論文がヒットする。検索結果を絞り込むには、画面左フレームの「絞り込み項目」を利用するとよい。(2020年6月29日現在)

C. 他の図書館の資料を探す

レファレンスツールで見つけた本や情報資源が身近な図書館にない場合や、さらに情報集めをしたい場合、次の図書館の資料も参考になります。

NDL ONLINE 国立国会図書館オンライン : 国立国会図書館蔵書 検索・申込システム.

国立国会図書館の所蔵資料および利用可能なデジタルコンテンツを検索して、資料の閲覧や各種の申込みができるサービス。
国立国会図書館 は日本の出版物を網羅的に収集している納本図書館であるため、当館にない資料も見つかります。図書や雑誌ほか映像資料や障害者向け資料など多様な形態の資料、さらに雑誌記事も同時に検索できます。 検索結果が多い場合は、画面左フレームの絞込項目を利用すると良いでしょう。

検索例

主題に絞った検索をする場合、〈詳細検索〉をクリックし、〈件名〉の項目にNDLSH(国立国会図書館件名標目表)などの標目形で検索するとよい。

〈件名〉の欄に検索語を入力します。

「思考」と入力して検索ボタンをクリックすると4322件資料がヒットするが、必ずしも心理学的なものだけではない。
"分類" のプルダウンメニューから "NDC" を選び「141.5」と入力して検索すると、心理学分野の思考に関する資料が839件ヒットする。同じように、〈件名〉に「批判的思考」と分類の「NDC 141.5」で図書が22件、「水平思考」で12件図書がヒットする(2018年5月21日現在)

そのほかの関連する件名として「問題解決」「判断」「推理」「連想」「連合 (心理学)」などがある。いずれの場合で検索する際にも "分類" で "NDC" を指定し「141.5」をかけあわせるとよい。


III. 有用なサイトやリンク

Psyche : an interdisciplinary journal of research on consciousness.

The Association for the Scientific Study of Consciousnessが提供しているレフリー(査読)制のオンラインジャーナル。「意識研究」を中心とした研究団体ではあるが、認知科学、哲学、心理学、物理学、神経科学、人口知能、人類学など広域にわたる研究を収録対象としている。収録された論文は検索することができ、全文を参照することが可能。

トップページ左上にある "Search" ボタンをクリックして検索画面に入る。
"Within:"のプルダウンメニューから "Title"を選択した上で、"Search for:" の欄に「Thinking」と入力し検索すると1380件、「Critical thinking」では458件、「Attention」で1055件、「Reasoning」で706件、「Thought」で2110件の論文がヒットする。(2018年5月21日現在)