記憶 Memory.

このパスファインダーは、認知心理学における記憶について調べるときの、最初の「みちしるべ」として利用できます。

記憶とは

経験を保持し、なんらかの仕方でこれを再現する機能を意味する。時間的な経過からみると、記銘 memorization、保持 retention、想起 remember の過程に分けられる。記銘は経験の獲得という意味で学習の側面ともみられるが、保持、想起の前提となる。つまり、学習と記憶とは不可分な関係にある。(『日本大百科全書』より)

関連情報

関連キーワード

  • 記憶
  • 記憶障害
  • 長期記憶、短期記憶
  • 記憶錯誤
  • エピソード記憶
  • 忘却、想起
  • ワーキングメモリ
  • Long-term memory、Short-term memory
  • Autobiographical memory
  • Explicit memory
  • Photographic memory
  • Memory disorders、False memory syndrome
  • De´ja` vu
  • Recollection (Psychology)
  • Recall
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パスファインダーには、図書館の資料、インターネット上で提供されている文献、データベース、出版情報やリンクなど、選りすぐりの資料や情報資源が掲載されています。

もちろん必要な部分だけを参考にするのもよいですし、これら以外にも情報資源(リソース)はたくさんありますから、図書館員にお尋ねください。

作成協力 : 鳥飼良美さん、ほか1名 (2005年度図書館実習生)(20060112)

I. 下調べ

A. 百科事典

JapanKnowledge ジャパンナレッジ.

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『ジャパンナレッジ』は、百科事典や言語辞書、専門用語辞典、現代用語集などの辞書・事典を一度に検索できるデータベースです。ひとつのキーワードから各コンテンツを横断検索し、また本文閲覧も可能です。課題調査やレポート作成などに活用することもできます。収録コンテンツには『現代心理学辞典』(有斐閣)も含まれている。

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検索方法

キーワード欄に探したい「キーワード」を入力し、検索。
「記憶」と入力すると、423件の記憶に関する記事がヒットする。
『日本大百科全書』では「1. 記憶の区分 (直接記憶 短期記憶 長期記憶)」「2. 記憶の研究法」「3. 忘却」「4. 記憶の再構成」「5. 哲学における記憶」の順に解説している。関連項目として「ア・プリオリとア・ポステリオリ」「覚える」「学習」「精神現象学」「生得観念」「忘却」などへのリンクがある。

Encyclopedia of learning and memory. 1992.

学習と記憶を主に取り上げている百科事典。Indexの662-663ページにある "Memory" の欄で記憶に関するいろいろな側面をとりあげた具体的な項目を一覧することができる。項目ごとに参考文献あり。NCID:BA1913773X

141/E58
レファレンス[洋]/長

The encyclopedia of memory and memory disorders. 2nd ed. Facts On File, c2001.

記憶や記憶障害は、学習や学習に不可欠な集中力、知覚などとの関係が深い。そのような分野との接点も考慮し最新の研究やトピックを取り上げている。Appendix (付録) のII-IV (247-257ページ) には "Helpful Websites (有用なウェブ情報資源)" "Read more about it (参考資料)" や "Periodicals that publish research in memory (雑誌の紹介)" がある。Glossaryは259-260ページ、Referencesは261-272ページにあり。NCID:BA54946054

1413/TU6
レファレンス[洋]/長

The MIT encyclopedia of the cognitive sciences. c1999.

「Memory」 -- 514-517ページ。認知科学事典だが、記憶に関する記述もある。巻末の索引から引くとよい。文末に参考文献あり。NCID:BA41428975
※認知科学とは: 認知心理学、人工知能、言語学にまたがる新しい学際的基礎科学(『ジャパンナレッジ』)

14151/MI56
レファレンス[洋]/長

Psychology basics. Salem Press. 1998.

「Theories of Memory」 -- 2巻383-388ページ、「Memory : Long-term versus Short-term」 -- 2巻394-398ページ。簡単な定義の後に関連するキーワードの提示があり、概略、参考文献が挙げられている。NCID:BA46208047

140/P951/
レファレンス[洋]/長

Encyclopedia.com

(http://www.encyclopedia.com/)

ウェブで公開しているColumbia Encyclopediaの百科事典。画面中央の「Enter Keywords」に「Memory」と入力すると、221件の記憶に関する記述がヒットする。検索結果の最初にある「memory」をクリックすると、心理学に関連した記述を読むことができる。参考文献の紹介もある。(2005年12月5日現在)

B. 辞書

認知心理学事典. 新曜社, 1998.

記憶に関する記述は80-93ページにあり。関連項目への参照がある。「短期」「長期」「作業記憶」「エピソード」「意味」「画像」「再認」項目ごとに参考文献あり。NCID:BA36146056

14151/E94
4Fレファレンス/星  レファレンス[和]/長、2F/長

Memory from A to Z : Keywords, concepts and beyond. Oxford University Press, 2004.

記憶の研究者であれば事典としてだけではなく読み物としても絶対ほしい1冊。記憶に関連する140のトピックを扱っており、広く網羅している。参考文献も充実している。Referencesは253-319ページ、巻末に索引あり。
※書評はこちら (PDF文書、89.7KB)

1413/D94
レファレンス[洋]/長

C. 代表的な本

記憶と学習. 岩波書店, 1994.

記憶と学習が深く関連があることを説明した上で、4-24ページに記憶システムの成り立ちや記憶の種類についての記述がある。参考文献は223-227ページにあり。NCID:BN10609365

1408/I95/5
2F/長

記憶と脳 : 過去・現在・未来をつなぐ脳のメカニズム. サイエンス社, 2002.

「記憶が脳の中に残るのは、何かを経験し学習する。そして、学習したものが、記憶として残るのである。記憶がどのように営まれ、神経細胞 (ニューロ) がどのように働くのか、脳の記憶システムがどう働くのかが、「記憶と脳」研究の成果である。今や、脳の働きを知らないで、記憶を語ることができなくなった。("はじめに" より)」と編者が説明するように、記憶は心の問題を扱う心理学の領域に重なるが、記憶の機能を司る脳の仕組みと働きについて理解することも重要である。イラストや具体例も多く読みやすい文章になっている。引用文献も豊富 ([185]-199ページ)。NCID:BA58613836

491371/KU14/7 491371/KU14/7
4F/星  書庫A/長

現代基礎心理学. 4. 記憶. 東京大学出版会, 1982.

記憶全般を取り上げている古典的資料。各章に引用文献が多数ある。
内容:序論 -- 記憶 ; 第1章 感覚記憶 ; 第2章 短期記憶 ; 第3章 長期記憶 ; 第4章 作業記憶 ; 第5章 記憶表象 ; 第6章 非言語的記憶 ; 第7章 記憶情報の制御 ; 第8章 記憶のダイナミックス ; 第9章 記憶の数理解析 NCID:BN00398762

1408/Y15/4
2F/長  B1/星

記憶研究の最前線. 北大路書房, 2000.

「記憶は心理学の領域だけからアプローチすることによって解明されるものではけっしてない。医学や生理学あるいは工学など、学術的な研究アプローチと合いまって、記憶の現象をより深くより幅広く理解することが可能になる。…入門書に記述された記憶研究から、専門書に記述された記憶研究への橋渡しをする役割を担ってまとめられた内容 ("はしがき" より)」。各章ごとに引用文献、巻末に索引あり。NCID:BA4611638X

1413/O81
B1/星  2F/長

ワーキングメモリ : 脳のメモ帳. 新曜社, 2002.

「ワーキングメモリは日常生活のあらゆる場面で必要な記憶である ("まえがき" より)」と記してあるように、日常の行動に必要な記憶を中心に記憶のメカニズムやそれに影響を及ぼす年齢や発達や脳や神経との関わりも取り上げている。巻末に引用文献あり (193-208ページ)。NCID:BA5830880X

1413/O73
2F/長

Human memory : theory and practice, Rev. ed. Psychology Press, 1997.

少々古いが広く引用されている資料。『Google Scholar』によると、今までに640件の引用がある(2005年12月9日現在)。目次は『Google Book Search』で見ることができる (こちら)。参考文献 (References) は373-406ページ、巻末に「Author Index」と「Subject Index」がある。NCID:BA30673172

141/B14-1
書庫A集[洋]/長

Memory : systems, process, or function. Oxford University Press, 1999.

言語の習得、認知行動、概念の形成や論理付けなどに欠かせない「記憶」の心理学的プロセスについて取り上げている1冊。章ごとに参考文献あり。NCID:BA39720023

1413/ME38
書庫A集[洋]/長

D. 雑誌

心理學研究.

心理学全般を扱っている学術雑誌だが認知心理学に関連する論文も多く掲載されている。記憶に関する論文も多い。掲載論文を探すのには『MAGAZINEPLUS』が便利。「雑誌名」の欄に「心理學研究」、キーワードの欄に「記憶」と入力し検索すると、145件がヒットする。(2006年1月11日現在)

B2雑誌/星  M14/し  1970-2005  41-75,76(1-4)+
バックナンバー室/長  1944-2005  19-63,65-75,76(1-4)+

Cognitive psychology.

記憶、言語生成、知覚、問題解決と思考などの分野の研究を中心に、基礎研究・理論的研究の成果はもとより教材や指導法、レヴューなどが掲載されている。研究領域としては、人工頭脳、発達心理学、言語学、神経生理学、社会心理学をも含む。記憶に関する掲載論文を探すのには『PsycINFO』を使用するとよい。詳細検索画面で検索項目をプルダウンで指定し、"Subject" の欄に「Memory」、"Journal Title" の欄に「Cognitive Psychology」にして検索すると、700件の論文がヒットする。検索結果には各論文の引用件数が表示され、抄録を読むことができる。(2006年1月11日現在)

バックナンバー室/長  C  1995-2005  28-50,51(1-2,4)+


II.情報集め (文献調査)

トピックの概要や位置づけをつかむことができたら、次はトピックに関する文献を収集します。各データベースの解説内で検索手順の説明に使われた検索語 (「」内のことば) は、そのままコピー&ペーストして使うことができます。

A. 愛知淑徳大学図書館の資料を探す

まずは身近な場所である、愛知淑徳大学図書館で文献の収集をはじめましょう。長久手本館・星が丘分館のうち通常利用しない館に利用したい資料がある場合は、予約のサービスを使って取り寄せることもできます。くわしくは閲覧カウンターにお問い合わせください。

愛知淑徳大学図書館OPAC.

(https://cat.lib.aasa.ac.jp/opac/)

1. 図書館サイトのトップページの、「OPAC検索」横の「詳細検索」をクリックする。"件名" の欄に検索語を入力して検索する。「記憶」で図書187件、視聴覚資料が11件、「Memory」で図書122件、雑誌が4件、「記憶障害」で図書13件、視聴覚資料が2件、「Memory disorders」で図書9件がヒットする。"キーワード" の欄に「記憶」と入力して検索すると図書881件・雑誌6件、「Memory」で図書243件・雑誌5件、「エピソード 記憶」で図書3件、「ワーキングメモリ」で図書12件などがヒットする。(2018年5月16日現在)

B. レファレンス資料を利用して探す

MagazinePlus マガジンプラス.

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一般誌から専門誌、大学紀要、海外誌紙まで収録した日本最大規模のデータベースです。国立国会図書館(NDL)の「雑誌記事索引」データのほか、「雑誌記事索引」ではカバーしきれない年報類・論文集や、一般誌などを追加・収録しています。明治期から現在まで一括して検索できる。(日外アソシエーツ『MagazinePlus』のページから)

アクセス方法

利用している端末によって、「学内から」「学外から」ボタンを選択
*「学内から」・・・図書館のデータベースPC、本学の全学Wi-Fiへ接続したデバイス、情報教育センターのPCなど、学内LAN接続の端末
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検索方法

上部の検索窓に、検索語を入力して検索する。
「記憶」といっても教育や医学などいろいろな研究分野にわたるため、心理学関係の「記憶」のみがヒットするように、例えば、「記憶 心理学」と入力して検索するとよい。1,694件の論文がヒットする。(2020年6月29日現在)
検索結果が多い場合には、画面左フレームの〈刊行年代〉や〈収録誌〉など絞り込み項目を利用するとよい。

PsycINFO.

学内から 学外から

アメリカ心理学会(APA : American Psychological Association)による、行動科学および精神衛生の分野における最大の情報資源。1800 年代から現在までの学術誌をカバーし、英語文献はもちろん、日本語文献も探すことができる。

アクセス方法
  1. 利用している端末によって、「学内から」「学外から」ボタンを選択
    *「学内から」・・・図書館のデータベース端末、情報教育センターの端末など、「学内LAN接続」の端末
    *「学外から」・・・Wi-Fiでネット接続の端末、自宅パソコン、スマートフォンなど、学内LAN「未接続」の端末
  2. 「ログイン」ボタンを選択
検索の基本

詳細検索画面で検索項目を "Subjects" に指定し、「Memory」と入力して検索すると145,702件がヒットする。

たとえば、画面左の<検索結果の絞り込み>の「出版時期」の範囲を指定することで、検索結果を絞り込むことができる。
同じく、「ソースタイプ」の百科事典にチックを入れると、百科事典掲載の記事だけに絞り込むことができる。
この結果では『Encyclopedia of Psychology』(本館・分館に所蔵あり)の記事が33件ヒットする。(2018年5月16日現在)

「Memory」に関連することばは「Autobiographical memory」「Early memories」「Epidemic imagery」「Eipisodic memory」「False memory」「Implicit memory」「Long term memory」「Memory decay」「Memory trace」「Reminiscence」「Repressed memory」「Short term memory」「Spatial memory」など多数ある。
Thesaurus of psychological index terms』の176ページを参考にするとよい。

Google Scholar.

(http://scholar.google.com/)

大学や研究所がみずから発信する研究論文や研究成果などの電子資料を機関リポジトリに蓄積し、オープン利用を可能にする動きは世界のみならず日本でも定着した。そのような有用な学術情報をターゲットに検索可能にしているのがGoogleScholarである。
記憶に関する文献を調べるには "Google Scholar" の入力画面上部バナーの左端にある3本線のハイパーリンクをクリックすると、メニューが表示される。〈検索オプション〉を選ぶと〈検索条件画面〉が立ち上がる。「すべてのキーワードを含む」の欄に"Memory, Psychology"と入力し<検索対象にする箇所>のプルダウンから「記事のタイトル」を選ぶ。 検索結果には、該当する文献が引用された回数と引用した論文へのリンクがある。検索結果は必ずしも引用回数の多い順ではなく、関連性の高い順に表示されるとしている。ほかに使えるキーワードとして「Long-term memory」、「Short-term memory」、「Photographic memory」など。このパスファインダーのはじめにある "主なキーワード" で紹介のあるもので検索するとよい。

C. 他の図書館の資料を探す

NDL ONLINE 国立国会図書館オンライン : 国立国会図書館蔵書 検索・申込システム.

国立国会図書館の所蔵資料および利用可能なデジタルコンテンツを検索して、資料の閲覧や各種の申込みができるサービス。
国立国会図書館 は日本の出版物を網羅的に収集している納本図書館であるため、当館にない資料も見つかります。図書や雑誌ほか映像資料や障害者向け資料など多様な形態の資料、さらに雑誌記事も同時に検索できます。 検索結果が多い場合は、画面左フレームの絞込項目を利用すると良いでしょう。

検索例

主題に絞った検索をする場合、〈詳細検索〉をクリックし、〈件名〉の項目にNDLSH(国立国会図書館件名標目表)などの標目形で検索するとよい。

〈件名〉の欄に検索語を入力します。

「記憶」と検索するか、NDLSHから「記憶」を探し、クリックして所蔵検索すると265件がヒットする。「記憶障害」36件、「記憶術」は36件のヒット。(2018年5月16日現在)


III. その他の有用なサイトやリンクなど

MedlinePlus : Memory

(http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/memory.html)

記憶の医学的側面を扱った情報資源の紹介が主ではあるが、記憶のしくみや記憶の喪失などについて簡単な説明がある。<検索項目>に「Memory」と入力すると、画面左に<Refine by type>というメニューが表示される。メニューなかほどの「Medical enycyclopedia」を選ぶと、Memoryに関する論文やや関連項目が表示される

Memory Research Laboratory.

(http://whoville.ucsd.edu/)

記憶研究で著名なカルフォルニア州立大学のLarry R. Squireのページ。神経心理学、脳医学を中心としているが、研究成果 (Publications)から記憶研究の多面性を見ることができる。全文を閲覧できるものも多数あるので便利。※PDF形式で公開している文献の閲覧には、Adobe社のAcrobat readerが必要