図書館オリエンテーション Library Orientation.

このパスファインダーは、図書館オリエンテーションについて調べるときの、最初の「みちしるべ」として利用できます。

図書館オリエンテーションとは

図書館オリエンテーションとは、主に滞在利用者の集団を対象に、特定の図書館におけるサービスの種類や概要、施設と設備の配置、開館日と時間、文献探索や貸出の方法、利用規則などの案内ならびに説明を行うサービス。(図書館情報学用語辞典. 第4版. 2013より)

利用者が図書館を効果的に活用するためには、「利用者教育(Library instruction)」が、重要な仕事のひとつとなります。とくに学習支援では、コレクションや図書館サービスを有効に利用できることが、必要不可欠です。それゆえ、利用者教育に携わる図書館員の仕事とその中身の充実が、いよいよ大切です。

パスファインダーには、図書館の資料、インターネット上で提供されている文献、データベース、出版情報やリンクなど、選りすぐりの資料や情報資源が掲載されています。

もちろん必要な部分だけを参考にするのもよいですし、これら以外にも情報資源(リソース)はたくさんありますから、図書館員にお尋ねください。

このパスファインダーは2004年度図書館実習生(宮川蕗子さん)の協力により作成されました。(Sumiyo Yamaguchi. 2005-3-10. Revised 2018-9)

I. 下調べ(事前調査)

どんなテーマでも初めて調べる時は、まず「そのテーマ(内容)は何か」を知る必要があります。百科事典や主題別専門事典などを調べて、基本的な知識をおさえ、テーマの概略をつかみましょう。
それと並行して、「II. 情報集め(文献調査)」に使うキーワード(検索語の候補)のリストを作ります。できれば引用・参考文献もチェックします。

A. 百科事典

JapanKnowledgeの日本大百科全書. 学内 (https://japanknowledge.com/library/)

図書館のトップページ〈データベース〉のプルダウンから選び、手順に従い、ログオンする。
〈基本検索画面〉で「図書館オリエンテーション」で検索すると、1件の定義がヒットする。(2018年9月6日現在)

Encyclopedia of library and information science. 1968-

Vol.16に「Library use, Instructionin,」の項目あり(p.113-147)。Vol.34とvol.35はvols.1-33までの索引。

 010/E58/ レファレンス[洋]/長 CiNii

B. 主題事典・辞典

ODLIS : Online dictionary for library and information science. (http://www.abc-clio.com/ODLIS/odlis_A.aspx)

「bibliographic instruction (BI)」の項目。「library orientation」と「library instruction」はbibliographic instructionと同義語として扱われている。

図書館利用教育ハンドブック. 2003.

「オリエンテーション」については、3章『グループ形式の指導』の中で、82ページから85ページにかけて説明がある。 実施の手順や具体的な企画書を例に解説が解り易い。

017/N77-2 書庫A/長  0177/N77 B1/星CiNii

図書館情報学ハンドブック. 1988.

「8.6 図書館利用教育」(p.788-800)あり。セクション末に注として参照文献のリストあり。

010/TO726 書庫A/長 B1/星CiNii

C. 入門書

大学図書館の利用者教育. 1989.

図書館オリエンテーションを利用者教育の1つとしてとりあげ、「目標と内容」や「形態・手段・方法」など説明し事例も紹介する。巻末に索引あり。

0177/MA55 書庫A/長CiNii
017/MA55 B1/星

こころをつかむオリエンテーション. 2014.

学校図書館におけるオリエンテーションについてまとめられている小冊子。小学校、中学校、高校それぞれのレベルに対応したオリエンテーションの内容を 簡潔にまとめている。

017/H017/H16/11 書庫A/長CiNii
017/H16/11 B1/星

Taking the library to freshman students via the freshman seminar concept.

Gardner, J. N.;Decker, D.; & McNairy, F. G. の1986の論文。『Advances in library administration and organization : a research annual. Vol. 6.』(pp.153-171)に掲載されている。

 013/A16/6 書庫A集[洋]/長

D. 雑誌

当館にない雑誌は、記事コピーの取り寄せ(文献複写)や、所蔵する他館での閲覧(紹介状の発行)もできます。詳細はレファレンスデスクへ、お尋ねください。

Research strategies : a journal of library concepts and instruction.

季刊。1996年(vol.14)から所蔵。15巻1号(1997)から19巻2号(2003)までの目次情報が無料で見られる。University of Haifa inIsrael の事例が16巻2号(1998)117-125ページに記載。

 バックナンバー室/長CiNii

E. 事例

図書館オリエンテーションの実際を知るには、報告論文を参考にすると効果的です。

畠山珠美著 時代にあった図書館オリエンテーションを目指して『大学図書館研究』2003年69巻.p.53-59.

国際基督教大学図書館で、2002年から2003年に実施した事例を紹介している。大学のカリキュラム(英語教育プログラム ELP-English Language Program)との連携の必要性が指摘されていて、参考になる。

田中功ほか.日本女子大学における図書館ガイダンスのe-ラーニング『情報管理』2003年46(8).p.530-535.

電子ジャーナルなど電子情報資源の出現は図書館の今後とそのあり方を模索する転機となった。その必要不可欠な対策として、図書館の利用と情報リテラシー教育の強化が日本女子大学図書館の目標として掲げられた。2003年当時としてはまだ新しい、e-ラーニング形式での図書館オリエンテーションの取り組みが紹介されている。e-ラーニングとはいえ、紹介する内容の骨子は不変であるところが興味深い。

F. 手引書

How to teach : a practical guide for librarians. 2nd ed. 2017.

本書は、図書館が担う利用教育を、オリエンテーションはもちろん、あらゆる側面から取り上げています。有用な情報資源や文献の紹介もあり、教科書としても、手引き書としても、活用できます。
英語の資料(電子ブック)ですが、次世代図書館を前提にするのであれば、英語力を磨く上でも、貴重です。

内容:Chapter 1: Teaching to Learn
Chapter 2: Planning Instruction
Chapter 3: Implementing Instructio
Chapter 4: Types of Instruction
Chapter 5: Face-to-Face Presentations
Chapter 6: Online Instruction
Chapter 7: Synchronous Instruction
Chapter 8: Asynchronous Instruction
Chapter 9: Self-Education: Keeping Current
Chapter 10: What’s Ahead for the Instruction Librarian?


II. 情報集め(文献調査)

テーマについて、おおよその内容が理解できたら、次は「I. 下調べ(事前調査)」で集めたキーワードを検索語として、関連文献を探します。まずは身近な図書館から、はじめましょう。それぞれの詳しい使い方や、当館に所蔵がない文献の入手方法は、レファレンスデスクで案内しています。

A. 愛知淑徳大学図書館の資料を探す

目録(OPAC=オーパック)は、当館の図書・雑誌・視聴覚資料などを探すための必須の道具です。OPACでは〈詳細検索〉を上手に使いましょう。とくに〈件名〉は、テーマを絞って資料を探す場合に便利な項目です。

愛知淑徳大学図書館OPAC.

詳細検索で、〈件名〉に「図書館教育」で33件、「"library orientation"」(""も入力する)で63件。(2018年9月7日現在)

B. 索引・書誌などレファレンス資料を利用して探す

索引や書誌などのレファレンス資料は、研究に必要な情報を広く調べるときに大変便利です。レファレンス資料ではないけれども同じように活用できる資料も紹介します。下調べの段階で集めた情報以外に、もっと情報を集めたい時に活用しましょう。

MagazinePlus マガジンプラス.

学内から 学外から

一般誌から専門誌、大学紀要、海外誌紙まで収録した日本最大規模のデータベースです。国立国会図書館(NDL)の「雑誌記事索引」データのほか、「雑誌記事索引」ではカバーしきれない年報類・論文集や、一般誌などを追加・収録しています。明治期から現在まで一括して検索できる。(日外アソシエーツ『MagazinePlus』のページから)

アクセス方法

利用している端末によって、「学内から」「学外から」ボタンを選択
*「学内から」・・・図書館のデータベースPC、本学の全学Wi-Fiへ接続したデバイス、情報教育センターのPCなど、学内LAN接続の端末
*「学外から」・・・学内食堂のWi-Fiへ接続したデバイス、自宅パソコン、スマートフォンなど、学内LAN未接続の端末

検索方法

上部の検索窓に、検索語を入力して検索する。
「図書館 オリエンテーション」と入力して検索すると83件、「図書館 利用教育」では573件、「図書館 利用指導」では364件ヒットする。(2020年6月26日現在)

図書館情報学研究文献要覧 1970-1981,1982-1990,1991-1998,1999-2006.

『'70-'81』には1970年1月から1981年12月まで、『'82-'90』には1982年1月から1990年12月までに発表された文献を収録する。
『'70-'81』の場合は、「図書館奉仕・図書館活動」のセクションの「図書館活動<利用指導・利用案内>」(pp.289-291)で調べるとよい。
『'82-'90』の場合は「図書館活動」のセクションの「図書館活動<利用指導>」(pp.356-361)で調べるか、巻末の事項索引(pp.535-668)から「オリエンテーション」、「利用案内」、「利用指導」といった言葉で探すとよい。各巻末に著者名索引などもある。CiNii

 010/F71/ レファレンス[和]/長

The First-Year Experience and Academic Libraries: A Select, Annotated Bibliography. (http://www.sc.edu/fye/resources/fyr/bibliography1.html)

新入生用図書館利用教育の必読文献を紹介する。

C. 他の図書館の資料を探す

レファレンスツールで見つけた本や情報資源が身近な図書館にない場合や、さらに情報集めをしたい場合、次の図書館の資料も参考になります。

NDL ONLINE 国立国会図書館オンライン : 国立国会図書館蔵書 検索・申込システム.

国立国会図書館の所蔵資料および利用可能なデジタルコンテンツを検索して、資料の閲覧や各種の申込みができるサービス。
国立国会図書館 は日本の出版物を網羅的に収集している納本図書館であるため、当館にない資料も見つかります。図書や雑誌ほか映像資料や障害者向け資料など多様な形態の資料、さらに雑誌記事も同時に検索できます。 検索結果が多い場合は、画面左フレームの絞込項目を利用すると良いでしょう。

検索例

主題に絞った検索をする場合、〈詳細検索〉をクリックし、〈件名〉の項目にNDLSH(国立国会図書館件名標目表)などの標目形で検索するとよい。

〈件名〉の欄に検索語を入力します。

「図書館利用教育」と入力して検索すると和図書が113件、「"/library orientation /"」("//"も入力する)では洋図書が 224件ヒットする。(2018年9月6日現在)


III. 有用なサイトやリンク

LOEX Clearinghouse for Library Instruction. (http://www.emich.edu/public/loex/loex.html)

「Teaching and support resources」の例えば「Tutorials」では各大学図書館で公開している利用ガイドへのリンクを集めている。