色彩計画(建築デザインと建築環境) Color planning.

このパスファインダーは、色彩計画について調べるときの、最初の「みちしるべ」として利用できます。

色彩計画とは

あらゆるデザインにおいて、そのデザインの使用目的を達成するために、必要にして十分な色彩条件を総合的に関連付けるための方法。生活条件、伝達条件、造形条件、技術条件のいずれかをどれぐらい重視しては配色を進めるかは、対象の特徴により決定される。(建築大辞典 p.682 色彩計画より レファレンス[和]/長, 4Fレファレンス/星 520/SH96)

色彩計画は、服飾などファッション、電化製品など商品のデザイン、公共施設や交通機関などにも用いられる。建築物に対して行われる色彩計画の目的には、美的効果だけではなく、「安全性の確保」や居住性において「心理的に快適にすること」などが挙げられる。色彩設計と同義に使用されることもある。(JapanKnowldege)

ファセットの解説

建築デザインおよび建築環境における色彩計画の全体像をつかむには、主要な構成要素を把握することが近道です。
次の9つのファセット(側面)が、色彩計画のガイド(標識)として機能します。

  1. 基本 色の名・種類・体系・見本など
  2. 効果 与える効果やイメージ
  3. 調和 調和(風土や環境との)
  4. 技法 配色技法
  5. 目的 計画の目的
  6. 手順 手順とその内容
  7. 調査 計画のための調査

パスファインダーには、図書館の資料、インターネット上で提供されている文献、データベース、出版情報やリンクなど、選りすぐりの資料や情報資源が掲載されています。

もちろん必要な部分だけを参考にするのもよいですし、これら以外にも情報資源(リソース)はたくさんありますから、図書館員にお尋ねください。

このパスファインダーは2007年度図書館実習生松岡奈都子さんの協力により作成されました。(Mizuki Kashima)

I. 下調べ(事前調査)

どのテーマもそうですが、初めて調べる時は、まず百科事典や主題別専門事典などによって基本的な知識を確認して、テーマの概略をつかみましょう。
そして調査と並行して、「II. 情報集め(文献調査)」に使うキーワード(検索語の候補)を集めましょう。
引用・参考文献もチェックしておきましょう。

A. 百科事典

JapanKnowledge ジャパンナレッジ.

学内から 学外から 概説 定義

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アクセス方法
  1. 利用している端末によって、「学内から」「学外から」ボタンを選択
    *「学内から」・・・図書館のデータベースPC、本学の全学Wi-Fiへ接続したデバイス、情報教育センターのPCなど、学内LAN接続の端末
    *「学外から」・・・学内食堂のWi-Fiへ接続したデバイス、自宅パソコン、スマートフォンなど、学内LAN未接続の端末
  2. 「ログイン」ボタンを選択
検索例

基本検索画面で「色彩」と入力すると124件の記事がヒットする。(2022年12月現在)
その中から、『日本大百科全書』の「色彩調節」の記事を選ぶ。画面右にある〈目次〉から〈建築の色彩計画〉を選ぶ。建築の色彩計画についての概要と色彩機能を利用した際の条件が確認できる。目次欄の下の参考文献に建築の色彩設計の資料が挙げられている。

B. 主題事典・辞典

色彩科学事典.日本色彩学会編.朝倉書店.2007.

基本 技法 調査

色彩と明るさに関して、514項目の概念が取り上げられている。
付録(p. [259]-312)には、日本工業規格に対応する「色に関する用語(JIS Z8105)」「物体食の色名(JIS Z8102)」「光原色一色名(JIS Z8110)」の用語リストがあり、それぞれの意味、英独仏の対応語を一覧できる。

OPAC書庫A/長 > 4257/N77/ア || 星 > 所蔵なしCiNii

色の百科事典. 日本色彩研究所編.丸善.2005.

基本 効果 技法

色彩の全領域をカバーしており、総論編、用語編、色名編、資料編からの4編からなる。
カラーチャート(p.[533]-572)、色彩研究の参考図書(p.593-601.)も含む。BIB

OPACレファレンス[和]/長 > 7573/N77 || 4Fレファレンス/星 > 7573/N77-2 CiNii

新編色彩科学ハンドブック.第二版.日本色彩学会編.東京大学出版会.1998.

基本 効果 調和

色彩に関する概念や技術的な記述も多いが、基本的な言葉の意味を確認するときに便利である。「第33章 都市・建築の色彩計画」がある。
章末に文献あり(p.1434-1436)。都市計画の色彩計画は、p. 1371, 1374, 1408-1409。事項・人名索引あり。BIB

OPAC書庫A/長 > 4257/N77-2/ア || 4F/星 > 425/N77/イ CiNii

 

C. 入門書

建築の色彩設計法.日本建築学会編.丸善.2005.

基本 効果 調和 技法 手順 調査

前半の「I. 建築の色彩計画編」では、色彩選定で必要なプロセスについて、多くの実例によって丁寧に解説・紹介している。カラー写真・カラーイラストが豊富にあり、わかりやすい。
引用・参考文献あり。BIB

OPAC書庫A/長 > 5288/N77 || 星 > 所蔵なしCiNii

建築の色彩設計.乾正雄著.鹿島出版会.1976.

基本 効果 調和 技法 手順

色彩の体系、色彩の効果、色彩の調和、光源の色と演出性、色彩調節、建築の色彩、色彩設計法など、建築に関する色彩計画(色彩設計)を各種側面から取り上げている。
注記として参考文献が紹介されている。BIB

OPAC書庫A /長 > 5288/I59 || 4F/星 > 5288/I59CiNii

色彩学の実践.渡辺安人著.学芸出版.2005.

基本 効果 調和 技法 手順

「本書は特に、インテリア、建築、景観など環境色彩分野を志す人のために、色彩理論とその実践方法を丁寧に解説しました。(まえがき)」 
前半は、色彩の基礎である。後半は実践として、外観の色彩計画(9章)、景観調和と色彩(10章)、があり、作業手順や問題点、留意点など具体的な説明がある。一部カラー写真・カラーイラストあり。

OPAC書庫B/長 > 7573/W46 || 星 > 所蔵なしCiNii

建築と色彩:インテリアから景観まで.宮後浩、渡邊康人著.学芸出版社.1999.

効果 調和 技法 目的 手順

「第1章 色彩計画の重要性」では、色彩が及ぼす心理的側面、色彩計画の効用について触れている。「第2章 配色調和と色彩心理」では、配色のアイデアのヒント、色彩センスアップの方法、色の表現方法について書かれている。第3章~第5章は、インテリアと外観の色彩計画を、作業手順と内容を中心に解説している。
参考資料p.82-90では、塗料用標準色見本帳、塗装仕上げについて、日本工業規格(JIS)安全色彩の種類、補足残像、色温度、演色性、カラーセラピー/癒す色、ライトセラピー/癒すあかり、色彩の資格についてのまとめがある。豊富なイラストあり。

OPAC書庫A/長 > 5288/MI73 || 4F/星 > 528/MI73CiNii

色彩計画ハンドブック : デザイナーのための.川添泰宏, 千々岩英彰編・著 .視覚デザイン研究所.1980.

基本 効果 調和 技法 手順 調査

少し古いが、色彩計画の具体的方法を、色の基礎、色体系、色見本、配色の技法、色の大きさ外皮明るさ図柄同化現象、見えやすさ、など、色のもたらす各種効果について、詳しく説明している。
環境色彩計画の流れを含む建築の色彩計画については、p.138-140に説明がある。用語解説:p.148-153.

OPAC書庫B/長 > 7573/KA98 || 4F/星 > 7573/KA98CiNii

公共の色彩を考える.公共の色彩を考える会編.青娥書房.1996.

基本 目的 手順 調査

「第III章 環境色彩計画の方法」があり、配色、表現法、カラーコーディネーション、調査法、プロジェクトの組み方、実例もある。特に作業手順については、「既在市街地色彩計画フローイメージ」p.121によって流れが分かり易い。環境色彩計画に関する文献の紹介(p.165-167)も参考になる。BIB

OPAC書庫A/長 > 5188/KO54 || 4F/星 > 5188/KO54CiNii

まちの色をつくる : 環境色彩デザインの手法.吉田慎悟著.建築資料研究社。1998.

基本 手順

景観を考慮した色彩計画とその調査法も含む方法論について、具体例を交えて解説している。「環境色彩デザインが実現すべき内容と、その後の配慮事項」のまとめがp.178-194にある。
巻末に「参考資料」あり。BIB

OPAC書庫A/長 > 5188/Y86 || 4F/星 > 所蔵なし CiNii

風土色による色彩学のすすめ.尾崎真理、佐久間彰三著.彰国社.2006.

基本 目的 手順

環境色彩計画を中心に書かれている。色彩調和論の基本や、環境色彩ガイドの作成のプロセスなどが取り上げられている。具体的な事例を使い解説がある。
巻末に「引用文献」「参考文献」あり。BIB

OPAC書庫A/長 > 5188/O96 || 4F/星 > 5188/O96CiNii

カラーコーディネーションの基礎:カラーコーディネーター検定試験3級公式テキスト.第3版.東京商工会議所編.中央経済社.2007.

基本 効果 調和 技法

建築に特化したテキストではないが、色の連想と象徴、色がもたらす心理的効果、配色と色彩調和(p.63-87)などについて、分かりやすく説明がある。
カラーチャートあり。章末に参考文献。BIB

OPAC書庫B/長 > 7573/TO46/ア || 4F指定/星 > 7573/TO46-1/ア CiNii

 

D. 雑誌

当館にない雑誌は、記事コピーの取り寄せ(文献複写)や、所蔵する他館での閲覧(紹介状の発行)もできます。詳細はレファレンスデスクへ、お尋ねください。

日本色彩学会誌.

当館は、1992年以降の発行を所蔵している。掲載論文は、『CiNii』と『MagazinePlus』で検索できる。
CiNiiでは、Advanced(詳細)検索画面で、〈Journal〉に「日本色彩学会誌」〈FreeWord〉に「色彩計画」と入力すると38件の論文がヒットする。
MagazinePlusでは、〈雑誌名〉に「日本色彩学会誌」〈キーワード〉に「色彩計画」と入力すると、3件文献がヒットする。(2018年3月26日現在)

OPACB2雑誌/星 > M42/に || 長 > 所蔵なしCiNii

学術講演梗概集.

日本建築学会が毎年開催している学会の学術梗概集。分野別に12冊にまとめられている。当館は1996年から2022年発行を所蔵している。
「材料施工」「構造」「環境工学」「建築計画」「建築歴史」などのテーマで別々に発行されているが、色彩計画に関する論文は、CiNii Researchからクロス検索することができる。
〈論文〉の詳細検索画面で、〈刊行物名〉に「学術講演梗概集」と入力し、〈フリーワード〉に「色彩計画」と入力すると、66件の論文がヒットする(2023年11月30日現在)

[所在]バックナンバー室/長 > か, DB/長 || 星 > 所蔵なし
[NCID]AA12344046


II. 情報集め(文献調査)

おおよその内容が理解できたら、次は「I. 下調べ(事前調査)」で収集したキーワードを検索語として、関連文献を探します。まずは、身近にある図書館からはじめましょう。

各情報資源の解説には、検索語の例を示しました。ヒットした結果が多すぎる(少なすぎる)場合や目的にあった文献がヒットしない場合などは、複数の検索語を組み合わせる・検索語を変更する・絞込み等の条件指定を行うなど、検索方法を変えてみるとよいでしょう。
各情報資源の詳しい使い方や、当館に所蔵がない文献の入手方法は、レファレンスデスクで案内しています。

A. 愛知淑徳大学図書館の資料を探す

OPACの「詳細検索」の項目を上手に使って調べましょう。とくに「件名」はテーマに絞って資料を探すための便利な項目です。目録は、本学図書館の図書や雑誌、視聴覚資料などを探すための必須の道具です。※図書館の目録を「OPAC(オーパック)」と呼びます。

愛知淑徳大学図書館OPAC.

詳細検索で、〈件名〉に「色彩調節」と入力し、検索すると13件図書がヒットする。 〈キーワード〉に「色彩計画」と入力すると、4件図書がヒットする。
建築とは限らないが、色彩の基礎を詳しく知りたい場合には、〈件名〉に「色彩」と入力し検索するとよい。2018年3月23日現在、257件の図書がヒットする。

B. 国立国会図書館の資料を探す

NDL ONLINE 国立国会図書館オンライン : 国立国会図書館蔵書 検索・申込システム.

国立国会図書館の所蔵資料および利用可能なデジタルコンテンツを検索して、資料の閲覧や各種の申込みができるサービス。
国立国会図書館 は日本の出版物を網羅的に収集している納本図書館であるため、当館にない資料も見つかります。

検索例

主題に絞った検索をする場合、〈詳細検索〉をクリックし、〈件名〉の項目にNDLSH(国立国会図書館件名標目表)などの標目形で検索するとよい。

〈件名〉に「色彩調節」と入力すると、74件の図書がヒットする。関連件名として「色(建築)」が関連件名としてある。19件の図書がヒットする。(2018年3月26日現在)

C. 索引・書誌などレファレンス資料を利用して探す

索引や書誌などのレファレンス資料は、研究に必要な情報を広く調べるときに大変便利です。レファレンス資料ではないけれども同じように活用できる資料も紹介します。下調べの段階で集めた情報以外に、もっと情報を集めたい時に活用しましょう。

CiNii Research.

学内から 学外から 概説 事例 課題

NII(国立情報学研究所)提供の文献情報データベースです。図書や論文だけでなく、国立国会図書館や医学中央雑誌刊行会などの外部連携機関、機関リポジトリ等の研究データ、KAKENの研究プロジェクト情報などを含めて、横断検索することができる。
一部の文献には、「DOI」や「機関リポジトリ」など本文にアクセスできる可能性があるリンクボタンがある。

アクセス方法

学内者は利用している端末によって、上記「学内から」「学外から」を選択

  • 学内から  図書館のデータベース端末、情報教育センターの端末など、学内LAN「接続」の端末
  • 学外から Wi-Fiでネット接続の端末、自宅パソコン、スマートフォンなど、学内LAN「未接続」の端末
検索方法 論文を探す場合 〈参照〉CiNii Research マニュアル「キーワードによる論文検索方法」
  1. 黒い枠内の下にある「すべて」を「論文」に切替え
  2. フリーワード欄に探したい文献の「キーワード」を入力し、検索
    *検索範囲を絞り込むためには、トピックの範囲を限定するキーワードを一緒に入力
    *「詳細検索」を選択し、条件を複数指定して検索する事も可能
  3. 検索結果が表示。その中から該当する論文を探す
検索例

「色彩計画」で387件、「色彩設計」で237件の文献がヒットする。
色彩計画のどのような側面について調べたいのかによって7つの「ファセット」の名称(例えば、効果・イメージ・調和・表現方法など)を組み合わせて検索するとよい。
"色彩計画 建築"(180件)、"色彩設計 建築"(65件)、"色彩計画 効果"(17件)、"色彩設計 効果"(9件)、"色彩設計 調査" (10件) など。(カッコ内はヒット件数。2022年12月現在)

MagazinePlus マガジンプラス.

学内から 学外から

一般誌から専門誌、大学紀要、海外誌紙まで収録した日本最大規模のデータベースです。国立国会図書館(NDL)の「雑誌記事索引」データのほか、「雑誌記事索引」ではカバーしきれない年報類・論文集や、一般誌などを追加・収録しています。明治期から現在まで一括して検索できる。(日外アソシエーツ『MagazinePlus』のページから)

アクセス方法

利用している端末によって、「学内から」「学外から」ボタンを選択
*「学内から」・・・図書館のデータベースPC、本学の全学Wi-Fiへ接続したデバイス、情報教育センターのPCなど、学内LAN接続の端末
*「学外から」・・・学内食堂のWi-Fiへ接続したデバイス、自宅パソコン、スマートフォンなど、学内LAN未接続の端末

検索方法

上部の検索窓に、検索語を入力して検索する。
「色彩計画」で293件、「色彩計画 都市計画」で40件、「色彩設計 建築」で31件、論文がヒットする。(2022年12月現在)
このほか、効果・イメージ・調和・環境など色彩計画に関係のあるファセット・ことばと組み合わせると検索を絞り込むことができる。


III. 有用なサイトやリンク

財団法人日本色彩研究所

例えば、「景観色彩」「カラーイメージ」「色彩工学」「カラーチャート」など研究所が手がけた具体的なプロジェクトや調査の紹介と共に色彩に関する各種情報を提供している。
「色の広場」ページにある「参考資料(書籍)」のリストも参考になる。BIB