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15, 2006
名古屋の繁華街の大きな書店それぞれの事情
書店 少し前の12月2日、オープンしたばかりの「あおい書店名古屋本店」へ行ってみた。場所は名古屋で一番の繁華街・栄(さかえ)の栄交差点南西角、「スカイル」というビルの5階である。
ここはもともと隣にある丸栄百貨店の新館「丸栄スカイル」であったが、数年前に経営上の問題から「スカイル」となった。以前、4階に星野書店が入っていたがずいぶん前に撤退した。この5階は「アカチャンホンポ」が入っていたところだ。
700坪の売り場に50万冊を揃えたという大きな店。行ったのは土曜日の午後だったけど、その日のその時間は、まぁとにかく、お客の多いこと。かいけつゾロリも来てた。でっかかったなあ。1メートル80はあったよ。
でも棚が…。
いい棚をつくってくださいね、時間がかかると思うけど。それからこの配置では防犯的には不十分と思ったが、開放的な出入口にして客を呼び込むことを優先させたのであろう。だが店内中央にエスカレータ、丸栄(西隣)とノバ(南隣)へは連絡通路でつながっているし、もちろん階段もある。
中日新聞朝刊の全面広告(2006/11/30=オープン当日)によると、1,000円以上買うとオリジナルブックカバーがもらえたとのこと。1,000円以上買えばよかった。聞いた話では女性客には販促用グッズ(おまけ?)も付いたらしい。
というのが開店の様子だが、スカイルへ書店ができると聞いたときには少し驚いた。
なぜなら景気の悪い話ばかりだから。とくに栄エリアでは。
スカイルの斜向かいのラシック(三越南館)には旭屋書店名古屋ラシック店がある。ここは8月1日に5階のみでリニューアルして、オープン当初は6階もあったが規模を縮小した。「コンパクトになり買いやすくなりました!」なんて言ってるけど、それなら最初からそうすべきだよね。
それから紀伊國屋書店。栄南のロフト名古屋店が9月30日に閉店したのは、賃貸契約の10年をもって以後更新しないと決めたから。小耳にはさんだ高い家賃にはびっくり。これでは採算がとれないよ。
今現在、名古屋に紀伊國屋書店は存在しないが、名古屋駅前の名鉄メンズ館(もと名鉄メルサ)5階に250坪の店を2007年3月にオープンさせる。
ここの6階には鎌倉文庫があったが3月末に閉店、今池ガスビル店へ移転したとのこと。
名古屋駅前には高層ビルが次々建っている。JR高島屋のあるJRセントラルタワーズ、来年3月6日に商業施設がオープンするミッドランドスクエア、ほかにも2つはできる。この賑わいが注目されており、紀伊國屋書店もこちらにターゲットを移したのである。
だがこちらも激戦区。古い順に言うと星野書店、三省堂、ジュンク堂のほか地下街の中小書店がひしめいている。
名鉄メンズ館隣の近鉄パッセ(中部近鉄百貨店)にある星野書店は名古屋の大型書店の草分け的存在。三省堂書店がJR高島屋11階のほか、松坂屋名古屋駅店の地下のテルミナと地下街もあわせて3店もあり、多すぎるほどの印象。ジュンク堂はビジネス街寄りに離れるが、そこそこ定着してきているようだ。
名古屋駅前のエリアを略して「名駅(めーえき)」と名古屋の人は呼ぶ。愛称として略称を使っているならいいけど、これが正式な住所(住居表示)でもあるという「わかりゃえーんだわ」式のとんでもない地名である。例えばミッドランドスクエアは、名古屋市中村区名駅四丁目(めーえきよんちょーめ)7番1号となる。
さらに横道にそれるが「ミッドランドスクエアにはどの書店が入るのか?」という話題があった。7倍強という競争率の中、どの書店も選ばれなかった。ブランドとグルメばかりができる。
さて栄に戻って、マナハウス。10月1日に親会社ダイテックに吸収され、ダイテックの書籍販売事業部となった。旧山一証券のビルは自社のものでマナハウスは施設名として残るようだが、さらに売り場を縮小させるかもしれない。今年1月には「不採算事業からの撤退」という表現も使っているからなぁ。
2000年11月のオープン時には、上の階にCDやDVDの売場もあったし、専門書もそこそこ揃った店であった。近隣の書店員を集めたとか、アメリカで見たような書店?だっけ、それをつくるのが社長の夢とか、噂話を聞いたが今後どうなってゆくのか。
さいしょのあおい書店も、やっぱりこちらも社長の意志があるのだろう。そうじゃなきゃ出店しないと思う。名古屋のひとから見ると、名古屋駅前がどれほど盛り上がっても名古屋のまちの中心は栄町(さかえまち)である。「栄町にこそ本屋を出したい」のはわかる。
『出版ニュース9月上旬号』の「2005年度書店売り上げ実績金額」で全国19位のあおい書店であるが、大変な時に大変なところへ挑戦したものだ。大きな書店のあいだの過酷な競争は終わらない。そして書店とネット通販との戦いもさらに広がるだろう。
こうした大きな書店が、あなたの通学・通勤する駅の本屋さんを蹴散らしてしまったかもしれない。既になくなってしまったところは残念だが、まだがんばっている町の本屋さんがあるなら、ネットで探し出した「書名、ISBNなど必要な情報をプリントアウトさせて本屋さんに持ってゆき注文」という方法もある。あなたが本屋さんが好きなら、多少の手間をかけてみてもよいと思う。
November
16, 2006
「図書館広報とインターネット:ネットの効率的な使い方から考える」
図書館 朝、ポッドキャストで『タチヨミスト★SHINGOさんの週刊誌チェック!』を聞いていたら、「ブルータス 2006/12/6号」に映画の〈登場人物職業別インデックス〉があるというので、早速確認した。司書はなかったけど、広告マン、修復師、美術館員、本屋などがありました。
こういう目録があると、目録を読みたくなるよね。Worldcatだとある程度の情報が件名(Subject)に入っているから検索できるのもあるよ。→修復師
今週火曜日に私立大学図書館協会の東海地区協議会「研究集会」で、上記タイトルの研究発表を行った。この回はそのときに紹介したサイトなどを書いておきます。参考にしていただければ幸いです。
本当は昨日更新したかったのだが、熱が出てしまい、1日ずれてしまいました。
発表のサブタイトルを「ネットの効率的な使い方からサービスの種(たね)を考える」とすれば、もう少しわかりやすかったかも、と後から思った。ネット利用者の使い方とか、こんなサービスをつかうとタダでこれくらいできる、など、ちょっと役に立ちそうなコツだけど図書館から公式にアナウンスするには不十分、といった話だったからである。長期展望やセキュリティの面で不安はゼロではないが、あったら便利ということを紹介したつもりである。内容は
- はじめに 広報とは?;2つの図書館入口:リアルとバーチャル
- インターネットの効率的な使い方 RSS;ブラウザ側でページを変える、日本語化
- まとめ
で、もちろん〈2〉が中身だ。
●サイト一覧(▼は時間切れで紹介できなかったサイト)
- Bloglines(ブログラインズ) http://www.bloglines.com/
ウェブでサービスしているRSSリーダー 無料
- iTunes(アイチューンズ) http://www.apple.com/jp/itunes/index.html
アップル社の提供する音楽ソフト 無料
- Firefox(ファイアフォックス) http://www.mozilla-japan.org/products/firefox/
機能をカスタマイズできる、タブを使ったウェブブラウザ 無料
- Greasemonkey(グリースモンキー) http://greasemonkey.mozdev.org/
Firefoxのアドオン(機能拡張)で、ウェブページを「見る側」で変える 無料
- Firefoxまとめサイト:Greasemonkey http://firefox.geckodev.org/index.php?Greasemonkey
Greasemonkeyを日本語で解説している
※「まとめサイト」という用語はネット上でよく使われている。
- Japanize http://japanize.31tools.com/
Firefoxのアドオン(機能拡張)で、外国語のウェブサイトの見かけを日本語化する 無料
- Connnotea(コノテア
コノティー) http://www.connotea.org/
ネイチャー社の提供する、ウェブでサービスしている無料の文献管理ツール
- CiteULike(サイトユーライク) http://jp.citeulike.org/
ウェブでサービスしている無料の文献管理ツールで日本語版あり
- ▼RefWorks http://www.sunmedia.co.jp/e-port/refworks/index.htm
ウェブでサービスしている文献管理ツールとしては最も有名 有料 導入大学あり
- ▼EndNote Web http://www.isiwebofknowledge.com/endnoteweb/
文献管理ツールで最も有名なソフトのウェブ版 日本語の案内 カレントアウェアネスR
- ウィキペディア Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/
ポッドキャスティング、RSS、RSSリーダーなど
- ▼平田大治「RSSの未来」オームブレテン 2005秋 vol.41
- ロケットブーム http://www.rocketboom.jp/
最も有名なビデオブログのひとつ リンクは日本語版
- TBSラジオのポッドキャスティングのサイト http://www.tbsradio.jp/
現時点で国内で最もポッドキャスティングに力を入れているラジオ局
- ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)ブログ版 http://d.hatena.ne.jp/arg/
インターネットの学術利用をテーマにした専門サイト ブログの一例
- News feeds from the BBC http://news.bbc.co.uk/2/hi/help/3223484.stm
BBC(英国放送協会)のニュースフィードを解説したページ
- カレントアウェアネスポータル http://www.dap.ndl.go.jp/ca/
国会図書館による図書館に関する調査・研究のページ
- 農林水産関係試験研究機関 総合目録 http://library.affrc.go.jp/
RSSを使ってサービスしている例 ▼『情報管理 49(1) 2006/4』 に関連記事あり
- ▼natu_nの日記 http://d.hatena.ne.jp/natu_n/
Greasemonkeyをつかったアマゾン→OPACリンクをつくっている
- ▼MediaLab Love http://d.hatena.ne.jp/Koumei_S/
Greasemonkeyをつかったアマゾン→OPACリンクをつくっている
- ▼「図書館Web」 http://www.yasuhisa.com/could/
はじめにGreasemonkeyをつかったアマゾン→OPACリンクを紹介した長谷川氏のページ
- ▼文字列のユニコードエスケープ http://piro.sakura.ne.jp/latest/entries/mozilla/xul/2005-09-28_unicode-escape.files/unicode.xul
アマゾンからのリンク作成時に便利 入力したテキストを文字参照に変換してくれる
- Examples of RSS from the Catalog http://www.libsuccess.org/index.php?title=RSS#Examples_of_RSS_from_the_Catalog
北米の図書館システムでRSSが利用できるもの
- ▼国際目録原則覚書 http://www.ndl.go.jp/jp/library/data/kokusaimokuroku2005.html
フランクフルト原則について書いてある国会図書館のページ
- ▼RDA: Resource Description and Access http://www.collectionscanada.ca/jsc/rda.html
AACR2の改訂版で2008年に出版予定のRDAのサイト
ところで発表の前日、カレントアウェアネスRで「オランダ・Ticerの研修「電子図書館アラカルト」」という記事を見つけ、気になるのでチェックしたら、「Module 2: Hands-on: Library 2.0 technologies to reach out to the customer」のなかに、Levineというひとが結構似た話をしていた。自分の発表とくらべて時間があるなぁと(1時間半×2)思ったら、やっぱり、こちらは時間が足りなくて説明が十分できませんでした。前回に引き続き、すみません。
今回の話でお尋ねになりたいことがあれば、どうぞお知らせください。
■Jenny Levine「Engage Your Users with Blogs and RSS: Create Community, Take Your Content to Them」パワーポイントをPDFにしたもの(23MB・かなり大きい)
September
22, 2006
インチキ本のリストを作ってほしい
本 9月23日から30日まで、アメリカ図書館協会(ALA)は禁書週間(Banned Books Week)というイベントを開催する。毎年9月に行われており、今回は25周年ということもあってか、グーグルが協力するというニュースが「カレントアウェアネス-R」に流れた。
「読むことができる自由」を讃えることが趣旨で、内容に問題があると批判のあった本(challenged books)を取り上げ、さまざまなイベントが用意されている。
A challenge is an attempt to remove or restrict materials, based upon the objections of a person or group. A banning is the removal of those materials.
(ALAの知的自由のサイト内の「Censorship and Challenges」から)
実際に書架から撤去されて読むことができなくなった本(banned books)は、少ないということである。
→ALA、批判の多かった図書2005を発表
当館でも最近では『虐殺の女王』という映画タイトルを聞いた利用者が不愉快に感じたことがあった。
わたしの考えはこうだ。多くの人が不快に感じるもの、内容や表現が異常または下劣なもの、邪悪な品性からつくられたものがあるのは認める。「人はそのようなものをつくってしまう愚かな生き物」だからである。同時に、今「フツーでない」ものが、将来その評価が変わる可能性があることも認める。ともあれ、今現在、それを図書館に置くかどうか、置いた場合の利用方法をどうするかは、個別具体的な対応をすればよい。ただし次に紹介するような本はどうかと思う。
問題があると抗議された本について、図書館関係者がオープンに議論しているアメリカだが、「内容に問題がある」というレベルではなく、「内容に虚偽が含まれる」「内容全体が虚偽」という悪質な本もある。
なかでも『ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記』によると「最も有名なインチキ本」は、フォレスト・カーター(Forrest Carter)の幼い頃の追憶を描いた実話として発表された『リトル・トリー(The Education of Little Tree)』である。この本の邦訳は当館でも所蔵しており、NACSIS Webcatと総合目録ネットワークシステム(国会図書館)などで調べると、のべ190館の大学図書館等、および、山形県と新潟県以外の都道府県立図書館すべてに所蔵されている。
人気があるからだろう、近刊では小学生向けの名作選、それから少し前には中学校の国語教科書にも収録されている。もちろん今なお、各地の図書館を含めていろいろなところで推薦されている。
この本がいかにインチキかは、町山さんの「「神に背いた少年」は「一杯のかけそば」」、北山耕平さんの「フォレスト・カーターよ、あなたはリトル・トリーなのですか?」とその翌日の記事、そこからのリンクを読んでいただきたい。
※参考までに、こちらは邦訳出版社の広告。
このほかにも「実話」として出版された本が、「作り話」だったと後からわかる本はある。最近ではジェームズ・フライ(James Frey)が自伝として出版した『A Million Little Pieces』の事件がある。
これらは特徴的な例にすぎない。失敗データベースではないが、優良な本を選定することと同時に、その逆の意味でのリストを作ってほしい。
▼愛聴しているTBSラジオ『ストリーム』のポッドキャスト(3/14 コラムの花道)で聞いてから、ずっと紹介したかった話をようやく書けました。それから、今回の話の後半に出てくるような本と、「と学会」のいわゆる「トンデモ本」とは別の話です(念のため)。トンデモ本は作者が本気で書いていますが、こちらは嘘つきなのですから。
September
11, 2006
「生きてゆくことと学問の接点」
本 「阿部先生が亡くなった」と知人から聞いたときには「その時が来たのか」と冷静だったが、時間を経て、思い出すたびに悲しい気持ちになる。阿部謹也さんは、直接教わったことはないけれど勝手に先生と思っているひとの一人である。そうであるが故に、失礼な言い方かもしれないが、たいせつな先生である。
とりわけ
「世間」について考えることを教わった。これはわたしにはきわめて重要なこととなった。
『自分のなかに歴史をよむ(ちくまプリマーブックス;15)』は、最初に読んだ先生の本だ。
〈テーマ展示〉など、いろいろな場面で紹介している。とくに学生や院生に対しては、阿部さんが学生時代に先生から言われた、「それをやらなければ生きてゆけないテーマ」を探す、というくだりの話をすることが多い。
ここで、わたしのことも書かねばなるまい。
大学を出て一度就いた仕事を辞めて大学院で勉強した経験、司書という仕事、これらをえらんでやってきた以上、わたしたちの日々の暮らしと学問のかかわりについて考え続けることが必要だと思っている。
難しいことではなく、今いる図書館はどんなところなのか(図書館業界とかの全体状況も含めて)、自分はそこで何ができるのか、というようなことにすぎない。
それを意識できたのは『自分のなかに歴史をよむ』を読んでからであり、阿部先生の「世間」についての考えに接することで少しは確かなものになったと思う。
もしも10代の時に『自分のなかに…』と出会っていたら、と思う。(本項のタイトルは第1章の小見出しの一つを使わせていただいた。)
阿部先生の安らかな眠りを、おいのりいたします。
September
4, 2006
「RedLightGreen」は、11月1日より利用できません。
図書館 あの RedLightGreen が終了する。RLGがOCLCに吸収されたときからわかっていたことではあるが。
RedLightGreen には2度驚いた。
1度目はもちろん最初に使ったとき。それまでにもいろんなOPACを使ってきたが、そのどれとも違う画面、利用者を誘導する表示項目など、新しい体験に未来の可能性を目の当たりにする思いであった。
2度目は日本語で検索できるとわかったとき。日本の図書館システムでも「多言語対応」と言っているわけで、日本語のデータが入力されていれば検索できるのです。
あと近所の図書館の所蔵を調べるとか、論文に書くときの書式で文献リストを保存できたりとか、便利で使い甲斐のある機能もあります。
本当に利用できなくなるのだろうか?
逆にそれだけの機能が「WorldCat.org」に追加される、と受け取ればよいのだろうか? たしかに、検索枠が1つだけのトップページはRedLightGreenのインターフェイスを参考にしている、と思いました。
海の向こうの激変は、RDAが完成する2008年まで続くのでしょう。
このニュースは『The FRBR Blog』の「RedLightGreen closing」(2006.9.1)で知りました。
このエントリーから『RICH :: Ref Info & Com Hub :: Main Page』の「RedLightGreen to cease as of Novmeber 1, 2006」(2006.8.28)をたどると、OCLCのRLG Programs担当のMerrilee Proffitt氏(もともとRLGのひとらしい)のメッセージが載っている。
※これを書いている時点で、OCLCからこの件についてのコメントはありません。
July
14, 2006
こんな風にして大きな変化は起きるのか:LCのキャルホーン・レポートとシリーズ典拠の中止
図書館 ちょっと前にサクランボのおすそわけをいただいた。にっこり笑っているつややかなサクランボを見ていると、少し気分がいい。スーパーなどでは「自分には関係ない」食品のひとつだが、向こうから自分のところへ来た。それも産地から。ほかにもいろいろ思いがめぐって、少し気分がいい。
そういうこともある一方、このところ頭が整理できない。それは左目の視力低下のせいでもあるが、そうでなくても、最近の目録をめぐる動きはつかみきれない。アメリカのことだが対岸の火事ではないと思う。
この項が、5月の時点で2つあった「書きたいこと」の1つなのですが、広範な内容のため時間がかかりました。まとめきれていませんが、本日アップします。なお詰めの甘いところがあるため、タイトルを含め、後ほど文章に手を入れると思います。(7.19改訂b)
2006年3月17日に、キャルホーン(Karen Calhoun)による『The Changing Nature of the Catalog and its Integration with Other Discovery Tools』(PDF・176KB)が出た。LCのプレスリリースはこちら。タイトルを訳すなら『目録の質的な変容と他の検索ツールとの統合』というところで、これは米国議会図書館(LC:Library of Congress)が、目録の現状と今後についてコーネル大学図書館のキャルホーンに委託していたものである。この報告、いわゆる「The Calhoun Report」の起こした波紋はとても大きく、白熱した議論が起こっている。
『At Water:日本研究』のochanenoさん(この下を参照)も指摘しているが、(というかグーグルによればこちらと国会図書館の単なる記事しかないのだけれど)「段階的実施のための青写真:2ヶ年計画(A Blueprint for Phased Implementation -- Two Year Plan)」の第四段階「技術革新とコスト削減(Innnovate and Reduce Costs)」の提案のなかに、その核心がある。すなわち、
4.2.3 (統制語である)LCSHを用いて人が総合的な主題分析を行うことを放棄し、主題を示す(統制語でない)キーワードを選択する;議会図書館にLCSHの廃止を勧告する
4.2.3 Abandon the attempt to do comprehensive subject analysis manually with LCSH in favor of subject keywords; urge LC to dismantle LCSH
LCSHを捨ててどうするかが、次に続く。
4.2.4 自動的(機械的)な主題分析の研究開発を促進させる、それには自動的な主題分析をサポートするLCSHの件名が入った古くなったデータの再利用方法も含む
4.2.4 Encourage research and development in automatic subject analysis, including ways to reuse legacy data containing LCSH headings to support automatic subject analysis
こうした方針に対して、マン(Thomas Mann)が議会図書館専門職組合(Library of Congress Professional Guild)を通して「A Critical Review」(PDF・108KB)を発表したのが、ほぼ2週間後の4月3日。こちらについては『At Water:日本研究』に「The Calhoun report" vs. Thomas Mann」という記事(正 続 続々 続々々の4回)がある。
※組合といっても日本のものとは別物であろう。「AFSCME Local 2910」と称しているように、米国地方公務員組合連盟(American Federation of State, County and Municipal Employees)のひとつである。
この動きを受けて『ライブラリージャーナル(Library Journal)』誌のネット週刊誌『Academic Newswire 4月20日号』 が、「LCSHの終わり?挑発的な報告書が目録について物議を醸す(The End of LCSH? Provocative Report Stirs Up Cataloging Discussion)」という記事を書いている。
さらに次の『Academic Newswire 4月27日号』の続報では、アメリカ図書館協会(ALA:American Library Association)会長のマイケル・ゴーマン(Michael Gorman)の個人的な見解として、この報告書とそれに沿った段階的処置に反対する、という発言を掲載している。
※この4/20と4/27の2つを合わせ、さらに解説を加えたような記事が「議会図書館件名標目表の終わり?(The End of LC Subject Headings?)」である。(Norman Oderによる、2006/5/15)
さて、北米の図書館員でもLCSHや典拠ファイルの重要性を理解していないひとは少なからずいるのだろうが、キャルホーンがそうだとは思えない。「LCSHの廃止」はありうるシナリオの一つであって、絶対に廃止すべしというわけではなさそうである。
というのも「4.2.3」項の「注14」にグロスとテイラーの論文「我々は何を取りこぼしているのか?:キーワード検索結果における統制語の効用について」(PDF・1.88MB)★が示されている。この論文の結論は、件名がある場合に比べて件名が記述されていない目録では、キーワード検索した場合に適合する検索結果の3分の1以上が探し出せない、そのうえその3分の1は件名のみが付与された最も的確な検索結果でもある、というものなのだ。
★Gross, Tina and Arlene G. Taylor. "What have we got to lose? : The effect of controlled vocabulary on keyword searching results." College & Research Libraries.vol. 66, no.3 : p212-230.
それに「注11」で2005年のカリフォルニア大学(UC)のレポート「Rethinking how we provide bibliographic services for the University of California」(PDF・397KB)を素晴らしいと評価しているが、これが指摘している点で関係した部分を簡潔にいえば次のようなものである。
・あらゆる情報資源に対してMARCやAACR2やLCSHによる目録を作成するのではなく、対象(レベル)によって使い分けるべきだ。(III.2a)
・豊かな語彙を持つが複雑なLCSHを、より利用しやすくするため開発されつつあるFASTに注目する。(III.2b)
・統制語の使用は、名前、統一タイトル、年月日(時代)、場所(地理)に限定し、主題をあらわすLCSHやMESHの利用中止を考慮する。同時に、本の目次や索引がその代わりにならないか検討する。(III.2c)
見方は似ているが、こちらの方が表現が穏当である。※UCの図書館では現在このレポートについて検討しているという。(こちらを参照)
「キャルホーン・レポート」はなぜ、LCSHを廃止せよと、挑発的にかかれたのだろう。
好意的に考えれば、単なる言葉足らずなのかも、英語で書くとこんな表現なのかも、という可能性はあるが。
それにしても「メタデータ作成」も「分類」も「主題分析」も自動で行おうというのは、ちょっと極端だ。最低レベルの目録(メタデータ)はそれでもいいかもしれない。しかし機械がことばを「理解」することがありえない以上、レベル(質)の高い目録を作成しようとするなら、人間の作業がなくせるとは思えない。
目録の作成コストを下げるためにLCSHを使って件名を付与しないことが、情報資源を探す利用者の不利益になり、探すためのコストを引き上げる結果になる。そんなグロスらの論文を「注」に示していること、UCのレポートを評価していることなど、実は、キャルホーンは「目録を変えなきゃ」とは思っているだろうが、それほど過激でないような気がする。LCSHの効用も、それを付与しない目録によって利用者が受ける不利益もわかっているはずだ。
代替案のないままのLCSHの廃止はありえない。「キャルホーン・レポート」がOCLCのFASTに言及していないのも不思議である。
『Academic Newswire 4月20日号』が出たその日、LCはさらなる議論を巻き起こす発表をした。「シリーズ典拠」の新しいレコードを5月1日以降作成しない、というのである。前ぶれのない衝撃的なこの発表は猛反発を受け、LCは、ひとまず実施日を6月1日に延期する、と5月4日に発表した。
ネット上で反対する署名活動が大規模に行われた。
アメリカ図書館協会(ALA)は5月16日に公式に苦言を呈したが、5月26日にはALAの図書館コレクション・技術サービス協会(ALCTS:The Board of Directors of the Association for Library Collections & Technical Services)を通してLCの決定をしぶしぶながら受け入れた。
そしてLCの目録政策・支援局(The Cataloging Policy and Support Office)は、『Series at the Library of Congress: June 1, 2006』を発表した。シリーズ典拠の作成は中止された。
これに対するOCLCの対応はどうか。
ちょうど5月は「OCLCメンバー評議会(OCLC Members Council)」が開催される月であり、そこでの討議も踏まえて「議会図書館の決定に対するOCLCの対応について(OCLC's Response to the Library of Congress Decision)」を発表した。要は、Worldcatではシリーズに対するアクセスを維持する方向で対応する、と表明している。これは当然の決定だろう。
この展開って……? RLGがOCLCに吸収された(正式文書;こちらはOCLC)ように、シリーズ典拠をLCとOCLCの両方で持つ必要がない、ということがLCの決定の背景にあったのだろうか?
RLGとOCLC、同じような組織は2ついらない、そうした考えから、最近の動きが起きているような気がする。
この話題についてぐるぐる考えている間に、トーマス・マンが6月19日「議会図書館で何が起こっているのか?(What is Going on at the Library of Congress?)」(PDF・100KB)という文章を書いていた。興味のある方は読むと参考になるだろう。(わたしは未読、斜め読みもしていませんです。)
May
8, 2006
RLGがOCLCと合併
図書館 再び長く更新できず失礼しました。書きたいことは別にあるのですが、大きなニュースなので速報します。合併後、OCLCの名称が残り、RLGはOCLCの一部門(RLG-Programs)となる模様です。
詳細は、2006年5月3日のOCLCのニュースリリース「RLG
to combine with OCLC」、または、RLGの ニュースリリース(同じ本文だがリード文付き)をごらんください。RLGにはこの件についてのFAQもあります。
February
17, 2006
ドイツ図書館もMARC21へ
図書館 長く更新できず失礼しました。
先月のことですが、1月13日に愛知淑徳高校が開いた井上真琴さんの講演会(と、その2次会)に参加しました。お誘いくださった高校の先生にも、深く感謝をしたい。月日が経過するとともに、あの時間がとてもよい時間だったと思い出されます。
井上さんは以前この欄で取り上げた、ちくま新書『図書館に訊け!』を書いた人です。間近で井上さんと接して、前回記事に書いた「立ち位置」についての疑問は消えました。立ち位置は「最前線の現場から考えるひと」だと思います。これは当たり前のことですが、世間のなかでは結構難しいことだとも思っています。井上さんの仕事ぶりを垣間見て、「自分にとっての現場はどこか」をきちんと理解して、ちゃんと仕事をすることだ、と改めて自分を振り返りました。
さて今日の本題は、ドイツ図書館(DDB:
Die Deutsche Bibliothek)もMARC21へいよいよ移行する、というニュースである。この話は同僚から聞いたのだが、調べてみると、DDBの『ddb,
Umstieg auf MARC 21 = ddb,
Moving to MARC 21』というページが昨年暮れに作成されていたようだ。
これは『ddb,
Umstieg auf internationale Formate und Regelwerke = ddb,
Changing for International Formats and Codes (MARC21, AACR2) 』※
に続く知らせで、2004年末にMARC21への移行が決定されて以来、専門プロジェクトによる検討を経て、2007年初めには準備が整うという。2008年にAACR3改めRDAが出ることを念頭に置いたスケジュールだろう。
※ RAK( Regeln fur die Alphabetische Katalogisierung
= アルファベット順記述目録規則)とMAB(Maschinelles
Austauschformat fur Bibliotheken = 図書館向け機械変換フォーマット)を、AACR2とMARC21に変更する件。
1996年から1997年におこなわれた「OCLC REUSEプロジェクト」の報告(カレントアウェアネス
No.234 1999/2/20号を参照)によれば、RAKとAACR2、この両者には根本的な違いがある上、MABとUSMARCのフォーマットに互換性がないということであった。それが、1999年10月に来日したDDB副館長ウテ・シュベーンス(Ute
Schwens)氏の講演では
「(引用者注:ドイツ国立図書館における全国書誌サービスで提供される)機械可読データのフォーマットは、MAB(図書館向け機械変換フォーマット)やUNIMARC、あるいはここ数ヶ月前からはUSMARC等である。」
とUSMARCが利用できるようになっている。
このほか主題アクセスへ対応するため、1997年からの「MACSプロジェクト」でSWD、RAMEAU、LCSH
※2 を連携させる仕組みを検討した。(カレントアウェアネス
No.262, 2001-6-20参照)
※2
SWD Schlagwortnormdatei = 件名典拠ファイル;ドイツ語
RAMEAU Repertoire
d'Autorite-Matiere Encyclopedique = パリ国立図書館の件名標目表;フランス語
LCSH Library of Congress Subject Headings = 米国議会図書館件名標目表;英語
さらに2002年から、LCやOCLCとともに、とくに名称典拠ファイルについて「ヴァーチャル国際典拠ファイル(VIAF:
Virtual International Authority File )」を構築しようとしている。(関連記事→ DDB | カレントアウェアネス-E
No.23 2003-10-1 | カレントアウェアネス
No.280 2004-6-20 | National
Diet Library Newsletter No.142 2005-4)
このほかDDBの英語ページをざっと見るだけでも、「Mapping
FRBR - MAB(PDF・ドイツ語のみ)」「DDC
Deutsch Project」など、過去のデータを生かしながら今後の展開に必要な作業を押さえていることがわかる。
こうしたドイツ図書館の仕事は、「その国やそこに住むひとにとって必要なもの」として自国の図書館が生き残るためになされているのだろう。これと同じ仕事が日本でも必要であることは明らかで、なのに、そうした動きがないように見えるのはどうしてだろう。
見えないところで成果があがっている?
まさか、そもそも気づいてないってことはないと思うが。
■英国図書館(British Library)のMARC21への移行→Moving
to MARC21 (BL) | カレントアウェアネス
No.267 2001-11-20
■参考 →ドイツ図書館ポータル(Goethe-Institut)
図書館のウェブマスターとして、また選書や広報の担当として
サイトを、新聞や雑誌を、みてよんで情報収集をしているなかで
「これは知っておいてもらおう」と思うもの(小ネタ含む)を
図書館の同僚に「お知らせ」していたのですが
ふと、そういうことはどうせなら、試験的にサイト内でやってみようと思って、はじめました。
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